研究課題/領域番号 |
24790748
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
今野 哲雄 金沢大学, 保健管理センター, 助教 (50377389)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 心不全 |
研究概要 |
本研究の目的は、心筋症患者を対象として心筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MYLK3)遺伝子の変異を検索してその種類・頻度を明らかにし、遺伝子変異と臨床表現型との関係を明らかにすることである。第二に、見いだされたMYLK3遺伝子変異を培養細胞およびゼブラフィッシュ受精卵に導入し、in vitroおよびin vivoの両面から心筋症・心不全の発症進展機序を解明することである。平成24年度は以下の研究成果を得た。 1. 拡張型心筋症・肥大型心筋症のサンプル収集:すでに収集された拡張型心筋症130例・肥大型心筋症患者発端者400例に加え、更に拡張型心筋症5例・肥大型心筋症10例の症例からDNAサンプルおよび臨床データを得た。直接塩基配列決定法により、拡張型心筋症1例においてMYLK3遺伝子のTruncation変異を同定した。2. in vitroキナーゼアッセイ:拡張型心筋症患者において同定されたMYLK3遺伝子Truncation変異では、野生型MLCK蛋白と比較して変異型MLCK蛋白の活性が有意に低下することを明らかにした。3. ゼブラフィッシュを用いたin vivo機能発現実験:Gal4-UAS法により野生型および変異型MYLK3遺伝子を導入したゼブラフィッシュモデルを作成した。今後、心機能および心形態の詳細な観察を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心筋症患者のDNAサンプル収集に関しては、関連施設からの十分な協力を得ることが出来たため、期待する進展が得られた。In vitro実験に関しては、精製MLCK蛋白質および基質(精製ミオシン軽鎖・カルシウム依存性モジュレーターであるカルモジュリン)の調整が順調であり、期待する進展が得られた。In vivo実験に関しては、Tol2転移システムを発展させたGal4-UAS法を用いて野生型および変異型MLCKを心筋に発現するゼブラフィッシュを作成したが、導入効率が良好であり期待する進展が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
MYLK3遺伝子変異を導入したゼブラフィッシュについて、経時的に蛍光顕微鏡を用いて変異型ゼブラフィッシュと野生型ゼブラフィッシュにおける心臓表現型の観察を行う。心機能解析は、高速動画記録装置にてゼブラフィッシュの心拍を記録した後、国立循環器病研究センターが開発したコンピューターソフトウェアを用いて心室壁厚・心室径・心室短縮率を算出することにより行う。加えて病理学的にも観察する。まず、ゼブラフィッシュ胚を4%PFAにて固定後にOCTコンパウンドにて凍結包埋し、クライオスタットを用いて凍結ブロックから既固定凍結切片を作成する。切片に対してヘマトキシリン・エオジン染色を行い、光学顕微鏡下に心室壁構造の観察や心室壁厚の計測を行う。また、電子顕微鏡を用いて、変異型ゼブラフィッシュにおける心筋細胞内のサルコメアやミトコンドリア構造の変化を観察する。更に心筋リモデリング関連遺伝子 (NPPA, NPPB, HCN4, MYH7) に対してDIG非放射性標識ラベルプローブを作成し、4%PFAにて固定したゼブラフィッシュ胚を用いてwhole-mount in situ hybridizationを行い、野生型と変異型ゼブラフィッシュ心における発現パターンを比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
in vitro/in vivo実験系を用いた研究を更に進めるため、以下の項目に関して研究費使用を予定してる。PCR, シークエンス試薬・遺伝子操作試薬・マイクロインジェクション関連・キナーゼアッセイ試薬・in situ hybridization試薬・コンストラクト作製・ゼブラフィッシュ管理費。
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