研究課題
本研究の目的は、心不全の主因である心筋症患者を対象として、新しい候補遺伝子;心筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MYLK3)遺伝子の変異を検索することである。さらに見いだされた変異につきin vitroおよびin vivoの両面から機能解析することである。【平成24年度】 530例の心筋症発端者 (肥大型心筋症400例・拡張型心筋症130例) を対象にMYLK3遺伝子変異を検索し、拡張型心筋症1家系においてMYLK3遺伝子変異(truncation変異: p.Pro639Valfs*15)を同定した。更に肥大型心筋症1家系において、missense変異: p.Lys558Argを同定した。【平成25年度、26年度】<in vitroキナーゼアッセイ>精製したMLCK蛋白質と基質(ミオシン軽鎖)をチューブ内に加えキナーゼアッセイを行った。p.Pro639Valfs*15変異型MLCKは、野生型MLCKと比較して著しいキナーゼ活性の低下を呈した。一方p.Lys558Arg変異型MLCKは、野生型MLCKと比較して有意なキナーゼ活性の上昇を呈した。<in vivo機能発現実験>MYLK3遺伝子をターゲットとしたモルフォリーノオリゴを用いて、p.Pro639Valfs*15変異に類似した変異型MLCKゼブラフィッシュを作成した。野生型と比較して変異型MLCKゼブラフィッシュの心室は軽度の拡大傾向を示したが有意な心室拡大は認められず、また心室収縮能の低下も認められなかった。<結論>MYLK3遺伝子p.Pro639Valfs*15変異はMLCK活性の低下から拡張型心筋症を、またp.Lys558Arg変異はMLCK活性の亢進から肥大型心筋症を引き起こすことが示唆された。これらの結果は拡張型および肥大型心筋症の全く新規の発症機序を明らかとしたものである。
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