研究課題
<背景・目的>近年、多能性幹細胞由来心筋細胞移植治療を臨床応用するために、効率の良い細胞移植細胞の検討は重要な課題である。そこで本研究ではマイクロ3Dカルチャー法を用いて、iPS細胞由来心筋細胞を心筋梗塞モデル動物への移植法を確立する。<方法・結果>Essential 8培地で培養したヒトiPS細胞株253G1に対して、アクチビンAとBMP4を連続して添加したところ、ES細胞と同様に自己拍動する心筋細胞が作製出来た。この細胞をタイプIコラーゲンとヒアルロン酸を用いて3次元的に細胞を培養し、この3次元構造物をそのまま、モルモット心筋梗塞部位の心外膜側に貼付し移植した。免疫抑制剤としてメチルプレドニゾロンとサイクロスポリンの投与を行い、移植2週間後に心臓を摘出し、組織学的検査を行い、心筋細胞の生着を確認した。次に未分化iPS細胞に対して、Zinc finger法によってAAVS1領域特異的にGCaMP3を遺伝子導入し、この細胞から心筋細胞を作製することに成功した。この細胞はin vitroにおいて収縮時に(細胞質内Ca濃度が増加することにより)蛍光発色した。そこで、3次元培養したGCaMP3陽性ヒトiPS細胞由来心筋細胞をモルモット心臓に移植した。移植2週間後に再度開胸して、蛍光CMOSカメラでGCaMP3発現を評価したところ、グラフト心筋細胞はホスト心臓とは同期していなかった。<研究の成果>①未分化ヒトiPS細胞から安定して心筋細胞を作製できるプロトコールを確立した。②In vivo光学マッピングを可能にするための、GCaMP3陽性心筋細胞を作製した。③3次元培養移植により、細胞は心筋梗塞心臓に生着するが、ホスト心臓との電気的結合は見られなかった。<結論>3次元培養による心外膜側へのiPS細胞由来心筋細胞移植は、細胞生着には有用な移植方法であるものの、ホスト心臓との電気生理学的結合を促進するためにさらに検討が必要である。
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