研究課題/領域番号 |
24790751
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
金森 寛充 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (20456502)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | オートファジー / レスベラトロール / 心筋梗塞 / 心不全 / 心保護効果 |
研究概要 |
心筋オートファジー制御による慢性期虚血性心不全への治療応用 申請者はこれまでに心筋オートファジーは様々な外的ストレスに対し心保護的に作用する善玉のメカニズムであることを検証してきた。このことはオートファジーを制御することが循環器疾患への臨床応用につながることを示している。しかし申請者が行ってきたオートファジー制御の手段は絶食にしたり、rapamycinやbafilomycin A1を投与するなど実臨床で応用するには受け入れ難いものであった。そこで本研究ではresveratrolを用いてオートファジー制御を試みた。resveratrolはポリフェノールの一種で自然界に存在する化合物であり、抗酸化作用以外に近年では強力なオートファジー促進作用を持つことが報告され注目されている。大型心筋梗塞によるマウス心不全モデルを用いてこの薬剤によるオートファジーと抗心不全効果について検討した。心不全モデルに対し2週間浸透圧ミニポンプを用いて投与したところコントロール群と比較し有意に心拡大を抑制し左室リモデリングの改善と左室収縮能・拡張能など心機能改善を認めた。また心体重比、肺体重比、心筋ANP発現は減少し心不全が軽減していた。この心筋ではオートファジーが促進していることがLC3の免疫染色や蛋白発現により確認され、電顕ではオートファゴゾームの増加により確認された。resveratrolのオートファジーに対する特異性を検討するため、オートファジー阻害薬としてchloroquineをresveratrolと同時投与したところ、左室リモデリングは進行し、心機能は低下、心不全は増悪した。この心筋ではオートファジーは抑制されていた。つまりresveratrolのオートファジーによる抗心不全効果を相殺していた。以上よりresveratrolはオートファジーを介した抗心不全効果が期待できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
resveratrolによるオートファジー促進効果、心筋梗塞後左室リモデリング改善効果は証明できた。他の疾患モデルでのオートファジー制御による治療効果を検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
resveratrolの心筋オートファジー促進と心保護効果は証明できたので、resveratrolのオートファジー促進へのシグナルの検討が必要である。 他疾患モデルにおけるオートファジー制御による治療効果。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の繰越金については、マウス用心臓カテーテルを購入予定(約400,000円)であったが現在使用しているものが壊れず使用できたので繰り越すことになった。しかしかなり痛んできているので次年度購入が必要である。 resveratrolのオートファジー促進へのシグナルの検討を種々の抗体を用いて特にAMPK関連の蛋白発現などを検討する。 概ね計画通りに進行しているので、計画書に記したように他疾患モデルについてもオートファジー制御による治療効果を検討する。従って相当数の動物、試薬、オートファジー関連抗体の費用が必要である。
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