研究概要 |
本研究では、胸郭内インピーダンスをはじめとする生体情報の遠隔モニタリングが、心不全急性増悪の早期発見および入院予防の新たなツールとして有用か否かを評価し、さらに心不全入院を予防するための新しいアルゴリズムを開発することを目的とした。ICDないしはCRT-P, CRT-D移植後の患者を、遠隔モニタリング群と非遠隔モニタリング群に分けて登録しフォローアップした。平成24年4月1日から平成25年3月末まで名古屋大学医学部附属病院において、ICD 症例が22例、CRT-P症例が3例、CRT-D症例が26例の合計51症例の新規植込みがあった。そのうち遠隔モニタリング群は30例、非遠隔モニタリング群は21例であった。遠隔モニタリング群では、OptiVol Fluid Indexが閾値60Ω・dayを超過する場合にケアアラートが医療者側に送信される設定とし、適宜患者に電話連絡を行い外来受診を勧めた。平成25年3月末現在は、症例登録期間中でありフォローアップデータが十分ではないが、OptiVol Fluid Indexの閾値60Ω・dayでは心不全の早期発見として偽陽性が多い傾向があった。我々の検討では、OptiVol Fluid Indexの閾値を120Ω・dayとしても偽陰性を増やすことなく偽陽性を減らすことが可能であった。アラートが発動されるOptiVol Fluid Indexにのみ着目するのではなく、連続した胸郭内インピーダンスの低下の方が実際の心不全の状態を把握しやすい。また遠隔モニタリング群においては心不全の早期発見のみならず、不整脈イベントやリードの不具合なども早期に発見可能であった。両群における入院率の差については今後のフォローアップの結果を待つ必要がある。
|