研究概要 |
冠動脈のステント治療後の冠動脈造影において、Peri-stent contrast staining (PSS)という所見がステント血栓症の予知因子あることを見出し、局所病理所見の検討の重要性を示した(Imai M et al. Circulation. 2011)。また、血中microRNA(miRNA; miR)が、局所において役割を果たす可能性についても明らかにした(Kuwabara Y, Imai M, et al. Circulation Cardiovasc Genetics, 2011)。本研究はこの両者を発展させ、当教室で見出した高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)の量と質に関わるmiR-33aおよびmiR33-bが冠動脈病変の進展にどのようにかかわっているかを解明し、さらにHDL-C機能改善による動脈硬化疾患治療法の開発を行うことを目標とする。具体的には、 1. PCIを施行する連続200症例を対象に標準治療を行い、プラーク量の変化を測定し、ベースライン、フォロー時のHDL-C濃度、及び機能がプラークの変化量に及ぼす影響を多変量解析を用いて検討する。また、HDL機能と生活習慣病各因子、生活習慣病に関する患者特性との相関も検討する。2. 血中miR-33a、miR-33bの量を測定し、HDL-C機能との相関を検討する。さらに、3. ヒトの病理組織を用いて、レーザーマイクロダイセクション法を用いて、病変局所の遺伝子発現(特にHDL-C機能に関わる因子)について検討する。また古典的な炎症に関わるM1 型と,線維化や抗炎症に関わるM2 型マクロファージマーカーについても検討する。現在は、患者登録を進めておりPCI施行患者の術前採血での血中miR及びHDL機能の測定及びPCI施行時の血管内超音波(IVUS)でのプラークボリューム及び成分の測定を行っている。
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