研究課題/領域番号 |
24790766
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
得能 智武 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50567378)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 分子血管病態学 / マイクロRNA |
研究概要 |
・臨床研究:当院入院患者において低酸素状態の疾患を対象にEDTA採血を行い、得られた血漿からRNAを抽出し、マイクロRNAの発現を検討している。対象は睡眠時無呼吸症候群を疑われて入院された患者(許可番号:24-110)。ポリソムノグラフィー(PSG)目的での入院時に1回目の採血を行う。PSGの結果、apnea hypoxia index(AHI)で有意な上昇を確認し、持続陽圧呼吸装置(Continuous Positive Airway Pressure: CPAP)治療に同意された方で、重症の方(AHI>30)を登録。その後1ヶ月以上CPAP使用し再度、効果判定にPSG施行。この時に2回目の採血を施行する。このように低酸素にさらされた状態の検体と、無呼吸が軽快し、低酸素が解消されたときの検体を比較し、発現しているマイクロRNAを検討した。今後、30検体を目標に比較予定であるが、現在4検体の比較を行ったところである(これらにおいては平均AHIの有意な改善を確認 69.8→4.1)。網羅的に検討するために、マイクロRNAアレイを施行。現在データを解析中である。マイクロRNA-132については個体間のばらつきが多く、4検体では前後で有意な変化を認めなかった。しかし、治療の前後で発現に変化のあるマイクロRNAを同定しており、今後、低酸素との関連を検討する。 ・培養血管内皮細胞の低酸素刺激によるマイクロRNA発現変化:内皮細胞を低酸素(1%O2)条件で培養し、細胞内と培養液中のマイクロRNA発現量を検討した。マイクロRNA-132の発現量は0.74倍に有意に低下した。逆にマイクロRNA-210の発現は2.20倍に増加した。培養上清中のマイクロRNAでは同様の変化は認めなかった。 ・マウス下肢虚血モデルにおける血管新生についてモデル準備中。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究については倫理審査に時間を要したこと、また患者登録数を増やすのに時間を要し、治療前後での差を見ることはまだ十分な数では行えていないが、現在検体数が集まり、今後、q-PCRを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
・臨床研究:低酸素状態の患者の検体と低酸素状態から脱した患者の血液検体を集めている。それぞれの検体の血漿において前後でマイクロRNAの発現を比較する。すでに4症例の検体についてマイクロRNAアレイを施行しており、この結果を解析して、マイクロRNA-132など低酸素に関わる可能性のあるマイクロRNAの発現変化をq-PCR法で検討する。30症例程度を集めて発現解析の予定。 ・培養血管内皮細胞を使用し、引き続き、低酸素におけるマイクロRNAの発現検討を行う。マイクロRNAオリゴヌクレオチドを細胞に導入し、マイクロRNAによる細胞増殖や遊走、サイトカイン産生への影響を検討する。 ・マウス下肢虚血モデルにおける血管新生:局所低酸素モデル動物の使用。マイクロRNA導入による血管新生亢進、創傷治癒改善を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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