研究課題
心筋発生及び心不全におけるTIGARの役割を解明し、心不全時のエネルギー代謝の改善及びapoptosisの抑制を介して心不全の治療を行うことができる可能性を検証した。WTマウスにTAC処理を行うと心機能の低下がみられ、p53が増加した。p53の増加に伴ってTIGARの発現も増加した。TIGAR KOマウスにおいてもTAC処理によって心機能の低下が認められたが、心体重比・BNPレベルはWTマウスに比べ改善した。TAC後8週ではCTGF mRNAの発現量等がTIGAR -/-マウスにおいて減少し、線維化が抑制されていた。心不全によって、心臓ではATPやPCrの減少が引き起こされる。しかし、TIGAR-/-マウスではATPやPCrの減少は起こらず、高いエネルギー状態が保たれていることが分かった。RIを用いた解析により、TAC処理後のTIGAR-/-マウスにおける脂質の使用量はWTマウスと同様に減少していた。それに対し、グルコースの使用量が増加し、解糖系が亢進していた。より詳細なメカニズムの検討を行うため、タモキシフェン誘導性心筋特異的TIGAR-/-マウスを作製した。TAC処理後4週にタモキシフェンを投与し、後期心不全時のエネルギー状態の改善を行った。その結果、全身TIGAR-/- マウスにTAC処理を施した場合と同様に心機能の改善が認められた。TIGARによって制御されるautophagyをクロロキンで抑制した場合はWTマウスとTIGAR -/-マウスでTAC処理後の心機能に差は認められず、TIGAR -/-マウスにおける心不全の抑制にautophagyは関与していなかった。最後に、心筋発生のどの段階からTIGARの発現がみられるかの検討を行った。その結果、未分化マーカーの減少とともに心筋分化マーカーであるα-MHCの発現がみられた。TIGARの発現量は分化初期のday 2で上昇がみられ、day4以降ではday 0とほぼ同じレベルの発現量であった。そのため、TIGARは幹細胞から心筋への分化のごく初期に関与している可能性がある。
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