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2012 年度 実施状況報告書

血管平滑筋細胞におけるオートファジーの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 24790782
研究種目

若手研究(B)

研究機関順天堂大学

研究代表者

三田 智也  順天堂大学, 医学部, 助教 (90532557)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード該当なし
研究概要

本研究は、急性冠症候群の発症機序に重要なプラークの破綻や冠動脈病変拡張後の再狭窄における血管平滑筋細胞のオートファジーの役割を検討することである。我々は平滑筋特異的オートファジー欠損マウスを作成し、機能解析を行っている。24年度は、初代培養した血管平滑筋特異的オートファジー欠損マウスとコントロールの血管平滑筋細胞を用いて、増殖刺激による血管平滑筋増殖作用のメカニズムを検討した。増殖刺激因子であるPDGF(25ng/ml)で24時間刺激し、BrdU assayで平滑筋細胞の増殖能を検討した。コントロールに比較してオートファジー欠損マウスの血管平滑筋細胞ではPDGFによる平滑筋細胞の増殖能が抑制されていた。これは、増殖因子刺激による血管平滑筋細胞の増殖にオートファジー機構が関与する可能性を強く示唆するデータと考えられる。次に、PDGFの増殖シグナルに関連するERK経路に関して検討を行った。コントロールではPDGF刺激によってERKのリン酸化が誘導されたが、オートファジー欠損マウスの平滑筋細胞のERKのリン酸化は認められなかった。従って、オートファジーはPDGF刺激による血管平滑筋細胞の増殖を負に制御している可能性が示唆される。今後、この経路に関して詳細に検討する予定である。この研究を通じて動脈硬化における血管平滑筋細胞のオートファジーの新たな分子機構を発見することができ、ひいては、オートファジーをターゲットとした新しい動脈硬化抑制薬の開発につながる可能性があり、臨床上も極めて意義の高い研究になると自負している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

血管障害モデルの作成に関してやや遅れている。8週令の野生型もしくは平滑筋特異的Atg7欠損マウスに左大腿動脈にガイド・ワイヤーを用いて血管内皮障害術を施行する予定であったが、手技の習得に時間がかかった。現在、この手技に関しては実施可能な状態になったため、速やかに血管障害モデルを作成していく。

今後の研究の推進方策

①平滑筋細胞におけるオートファジーの細胞増殖抑制に関わるシグナルの蛋白レベルをウエスタンブロット法やmRNAをRT-PCR法で解析し、メカニズムの検討を行う。これらを解析する手法は既に確立しているので速やかに実施していく。
②血管障害モデルによる評価
血管内皮障害術に関しても手技が確立したため速やかに実験を行う。具体的にはワイヤー挿入部から0.5mm、1.0mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm体側の血管切片をelastic Verhoeff-Van Giessen染色し、イメージ・アナライザーにてIntima, Media, Intima/Media ratioを定量的に評価する事が可能である。また、これら切片のシリアル切片を用いて、細胞周期制御因子であるRetinoblastoma Proteinのリン酸化やCyclin D,A,E、p27、SKP2といった各種蛋白の発現を免疫染色にて検出する。これらの手技に関しても十分な経験があり、速やかに実験を進めていく

次年度の研究費の使用計画

動物購入・系統維持400万円、血管平滑筋単離・消耗品100万円、血管障害モデル作成備品100万円、RNA抽出キット100万円、定量的RT-PCR用試薬100万円、Western blotting用試薬・消耗品100万円、病理標本作製費50万円、FACSによる解析備品100万円、BrdUアッセイキット50万円を研究費の使用用途として考えている

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Anagliptin, a DPP-4 Inhibitor, Suppresses Proliferation of Vascular Smooth Muscles and Monocyte Inflammatory Reaction and Attenuates Atherosclerosis in Male apo E-Deficient Mice.2013

    • 著者名/発表者名
      Ervinna N, Mita T, Yasunari E, Azuma K, Tanaka R, Fujimura S, Sukmawati D, Nomiyama T, Kanazawa A, Kawamori R, Fujitani Y, Watada H
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 154 ページ: 1260-1270

    • DOI

      10.1210/en.2012-1855

    • 査読あり
  • [学会発表] インクレチン関連薬の抗動脈硬化作用2012

    • 著者名/発表者名
      三田 智也
    • 学会等名
      日本糖尿病合併症学会
    • 発表場所
      アクロス福岡
    • 年月日
      20121102-20121103
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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