我々は肥大型心筋症を引き起こす心筋トロポニンT突然変異S179Fを内在性ゲノム遺伝子に導入したノックイン(KI)マウスモデルの作製を行った。心筋スキンドファイバー実験において、このKIマウスのミオフィラメントCa2+感受性の増大が確認できた。また、長期観察でおよそ一割が死亡し、その約半分は若年死であることが分かった。心臓病理組織学的所見において、重度の錯綜配列と間質繊維化が示された。心エコーによりKIマウス左心室内腔の縮小を伴う左心室の肥大、心臓カテーテル法により左心室拡張機能障害を認めた。このモデルは臨床患者の表現型をよく再現しており、肥大型心筋症のモデルとして有用であることがわかった。
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