1)PNA-LNA PCR clamp法によるNotch1遺伝子変異の高感度検出システムの開発を試みた。 点突然変異を有する変異Notch 1遺伝子のみを特異的に増幅するために、長井らの論文を参考にPCR clamp法を利用することとした。まずClamp primerには、野生型と変異型を効率的に判別するためにPNAを使用することとした。PNAはTaq DNA polymeraseの5’→3’エキソヌクレアーゼに耐性で、PNAの相補鎖と強く結合でき、さらに1塩基のミスマッチでTmが大きく減少するため、clamp primerとしての使用に適している。このPNAを正常DNAと相補的に作成することで、PCRの際に正常DNAの増幅を阻害できる。変異部位の正常DNAに対応する相補的な配列のPNAを用いたclamp primerを設計し、また続いて変異型を検出するために、変異に対応するfluorogenic probeとして、mutant probeを設計(Mutant probeでは野生型と変異型を厳密に区別するために、変異部位に対応する場所にLNAを用いる)することを検討しているが、残念ながらいずれも現時点で成功していない。 2)学会に参加し、Notch阻害剤等の最新状況に関する情報を収集した。 gamma secretase(Notch)阻害剤は、J Clin Oncol誌(2012年7月1日号、P2307-2313)にMK-0752という薬剤がPhaseIの段階であるが、順調に臨床開発が進んでいる。その他の薬剤も学会レベルでの報告が散見されており、本研究の遂行速度を速める必要性を再認識した。
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