研究課題
4年計画の3年時としては、引き続きマウスにおける高二酸化炭素、低酸素暴露における呼吸の測定継続を行った。実験としては、無麻酔無拘束マウスからの呼吸測定と脳波測定による睡眠覚醒ステージ同時判定が可能であった。またラットを用いた場合では、脳波測定による睡眠覚醒ステージを判定が可能な状況での無麻酔無拘束下での横隔膜筋電図測定ができた。一方、マウスのオトガイ舌筋筋電図に関しては、筋肉自体のサイズが小さいため再現性のある結果を得ることが難しく、またラットを用いた場合では唾液や食物の嚥下などの舌運動によるアーチファクトの影響が大きく呼吸出力としての上気道開大を再現性をもって測定することは困難であった。以上の経過から、実験の代案として、覚醒・睡眠調節への影響を及ぼすモダフィニル投与における呼吸増強効果を計測した。暴露刺激としては、低酸素、間欠的低酸素、高二酸化炭素環境に対する応答の変化を、コントロール群、モダフィニル低用量投与群(100mg/kg)、モダフィニル高容量投与群を用いた。本薬剤の覚醒刺激に関する容量に関しては、予備実験にて低用量、高容量群ともに明らかな覚醒刺激をもたらすことが明らかであったたことと、動作(locomotion)に対する本薬剤の効果を用いた過去の報告を参考にして決定した。現在まで、8匹のマウスを用いて無麻酔マウスを用いたモダフィニルの呼吸増強効果を確認している。低酸素、二酸化炭素応答についても引き続き解析を進めている。今後は、この効果をさらに確実に証明するためにラットの大腿動脈にカテーテルを留置し、動脈血液ガスを刺激前後で測定する予定である。ここまでの8匹の段階で、一度統計学的解析を行い、有意な結果が得られればこの時点で論文執筆を開始したい。
2: おおむね順調に進展している
無麻酔無拘束マウスから、呼吸、脳波計測する再現性を持って計測が可能となったことが最大の要因である。また代案としてのモダフィニルを用いた低酸素換気応答、二酸化炭素換気応答(呼吸増強)の実験では、予備実験を繰り返し行った結果、モダフィニル投与による覚醒刺激、呼吸増強の効果は明らかとなったことが順調に進んでいると言えることの要因でもある。継続的に、実験を繰り返し行えていることも影響していると考えられる。
最終年度として、これまでの結果を論文としてまとめて執筆することを第一目標とする。また呼吸増強の結果をより強固にするものとして、ラットの大腿動脈にカテーテルを留置し、刺激前後での動脈血液ガスをで測定する予定である。今後のさらなる発展を目指して、努力したい。
呼吸増強の効果を確認するモダフィニルが海外注文の薬剤であり、在庫不足により予定していた注文ができなかったため。
新年度に入り、予定通り注文する。
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