研究課題/領域番号 |
24790818
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
浅井 一久 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 病院講師 (10382053)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 閉塞性肺疾患 |
研究概要 |
気道上皮の最終に際し、軽微な血痰や末梢小結節精査目的で気管支鏡検査を受けた患者のうち、対照群である慢性閉塞性肺疾患群(COPD群)、気管支鏡目的以外の呼吸器疾患のない健常対照群は症例の集積が比較的進んでいる。しかしながら、当然のことながら気管支喘息患者に対する気管支鏡検査を避ける傾向があり、対象となりうる気管支鏡検査を受けた患者うち、気管支喘息患者の比率が少なく、集積に時間がかかっている。 採取できた気道上皮については、mRNAを抽出してcDNAを作成しており、Real-time PCR法にてNKX2-1(TTF-1)発現量を定量しており、症例の集積にしたがって、背景因子との相関も検討できるように臨床背景、肺機能検査値などのデータベースを作成している。 本研究は、炎症を制御する転写因子を介入点とする新規の治療戦略確立のための基礎的データとなる。そのため、実際の患者から採取した気道上皮における転写因子の発現を検討する手法をとっている。そのため、検体採取に時間を要するが、in vitroのみの実験とは異なり、得られるデーターは非常に重要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
着実に実際の患者からの気道上皮細胞採取は行なっており、症例集積は進んでいるが、現在、主対象とした気管支喘息群の症例集積に遅延が生じており、達成度は遅れている。しかし、得られた気道上皮からのcDNA作成、気道上皮に対するサイトカイン刺激による反応性の実験は症例ごとに完了している。ELISA等でのサイトカインの測定は少数例毎では効率が悪いため、検体をストック中であるが、測定評価を行う準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
気管支喘息患者の気道上皮の集積が遅延している点に関し、引き続き症例集積に努めることに加え、気管支喘息と同様に閉塞性肺疾患であり、その質において気管支喘息とは差異を認めるが、COPD患者の気道上皮の例数が比較的得られており、両者を包含した慢性気道炎症疾患をターゲットとして、研究を展開する。また、これに伴い、TTF1のみならず、他の転写因子も評価の対象として取り上げる方向で検討を開始している。細胞における抗酸化遺伝子調節に関与するNrf2を候補として評価しつつある。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、症例を集積しつつ、得られたcDNAに対して、TTF1に対するTaqMan probeを購入して、preliminaryに発現の有無を検討し、気道上皮に対するサイトカイン刺激を行い、培養上清の集積を行なってきた。25年度については、引き続き症例を集積しつつ、real-time PCRの検討を本格化して、上清中のサイトカイン濃度の測定をELISAにて行なっていく。また、評価対象の転写因子の幅を広げて検討を行なっていく。 これらの結果に基づき、有意な変化をみた転写因子については、siRNAを用いたノックダウン実験を追加して、転写因子の役割を明瞭化していく。
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