研究課題
気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)はともに慢性気道炎症疾患であり、単なる閉塞性障害の改善に加えて、気道炎症の制御が求められる。気道炎症に関わる個々のメディエーターの制御は、サイトカイン、ケモカイン等の重複性、冗長性から、炎症の制御に至り難く、一連の炎症機序に関わるメディエーターの発現等に関与する転写因子の制御がブレイクスルーとなる可能性がある。本研究では、気道の構成細胞である気道上皮に発現する転写因子への介入を念頭において研究を開始した。気管支喘息患者、対照群として健常人、そして、疾患を有する対照群として、COPD患者から気道上皮を気管支鏡下にブラシにて採取した。気道は外界と直接接する器官システムであり、外的酸化ストレスにさらされたり、気道炎症自身によっても酸化ストレスを発生する。酸化ストレスは様々な炎症性物質の誘導をしたり、防御因子の機能不全を引き起こす。本研究では、酸化ストレスの制御に関与する転写因子NRF2(Nuclear factor erythroid-2-related factor2)の気管支喘息、COPD気道上皮における発現を検討し、COPD患者の気道上皮におけるNRF2の発現低下を見出した。また、NRF2は健常人において、喫煙量と有意な相関を持って低下することも認められた。NRF2の発現、活性化により酸化ストレスを制御することにより、COPDが抑えられる可能性が示された。ひき続き、NRF2発現制御のメカニズムの検討を進めている。
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Respiratory Medicine
巻: 108巻 ページ: 印刷中
10.1016/j.rmed.2014.02.001
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