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2012 年度 実施状況報告書

網羅的遺伝子解析手法を用いたゲフィチニブ耐性化の機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24790822
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

寺井 秀樹  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50445293)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードFGFR / EGFR-TKI / EGFR-TKI耐性化 / 肺癌 / DNAメチル化 / エピジェネティクス
研究概要

EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌細胞株であるPC9細胞株の耐性株の樹立及びその耐性株において、既存の耐性化とは異なるFGF2-FGFR1のautocrineによるEGFR-TKI耐性化が起こっていることを示した。具体的には、耐性PC9細胞株においては、0.1-1uM程度のGefitinibのみでは細胞の増殖抑制がほとんど認められなくなっているが、FGFRの阻害剤であるPD173074やFGFR1やFGF2をknock downした際に、Gefitinibへの感受性が回復した。特にFGFR1をknock downした際には、通常の感受性株に近い程度まで感受性が回復することを確認した。また、Gefitinibのみでなく、PD1773074を同時に加えることで、EGFRの下流に当たるERKのりん酸化が阻害されることが分かっている。
別な新たな耐性化の機序として、DNAメチル化による遺伝子抑制との関係についても調べており、これまで、klotho、S100P、ALDH3A1といった候補遺伝子がcDNAマイクロアレイを用いた網羅的なmRNA解析とInfiniumを用いた網羅的なDNAメチル化解析の統合解析結果から得られている。このうち、klothoはこれまで膵癌の薬剤感受性との関係が知られている遺伝子であり、耐性株においてもklothoのknock downにおいてわずかであるが、PC9感受性株がGefitinibに対して耐性化することが確認できている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたPC9耐性細胞株におけるFGF2-FGFR1のautocrineの機序に関しては既にpaperにacceptされている。また、DNAメチル化とEGFR-TKI耐性化との関与に関してはklothoをはじめとした候補遺伝子に対する解析がすすみ、また、他の研究者が行っているHCC827の耐性株における同様な実験の結果と統合して解析することで、候補遺伝子の効率よい絞り込みが可能となっている。

今後の研究の推進方策

PC9のEGFR-TKI耐性株及びHCC827のEGFR-TKI耐性株という2種類の細胞株を用いて解析を進めていく。具体的には、DNAメチル化による薬剤耐性との関与が考えられるklothoをはじめとした遺伝子群に関して、knock downや高発現モデルを作成することでその薬剤耐性化における役割について検討する。
臨床検体を用いたFGF2-FGFR1のautocrine機序についての調査については、臨床検体を得られる機会が少ないことから、他施設との連携についても視野に入れている。

次年度の研究費の使用計画

DNAメチル化解析に必要な試薬の購入費。細胞継代や薬剤感受性確認のため、遺伝子knock downのために必要な試薬の購入費。
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入にあてる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Activation of the FGF2-FGFR1 Autocrine Pathway: A Novel Mechanism of Acquired Resistance to Gefitinib in NSCLC Cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Terai H, Soejima KN, Yasuda H, Nakayama S, Hamamoto J, Arai D, Ishioka K, Ohgino K, Ikemura S, Sato T, Yoda S, Satomi R, Naoki K, Betsuyaku T.
    • 雑誌名

      Molecular Cancer Research

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      10.1158/1541-7786

    • 査読あり
  • [学会発表] Activation of FGF2-FGFR1 pathway in EGFR-mutant lung cancer cell line with long-term gefitinib exposure.2013

    • 著者名/発表者名
      H. Terai, K. Soejima, K. Naoki, H. Yasuda, R. Satomi, S. Nakayama, S.Yoda, S. Ikemura, T. Sato, K. Ishioka, D. Arai, K. Ohgino, J. Hamamoto, T. Betsuyaku
    • 学会等名
      2013 AACR annual meeting
    • 発表場所
      Washington, DC, USA
    • 年月日
      20130406-20130411
  • [学会発表] Activation of FGF2-FGFR1 pathway in EGFR-mutant lung cancer cell line with long-term gefitinib exposure.2012

    • 著者名/発表者名
      寺井秀樹、副島研造、猶木克彦、安田浩之、池村辰之介、佐藤崇、荒井大輔、石岡宏太、扇野圭子、濱本純子、別役智子
    • 学会等名
      第71回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      札幌・ホテルロイトン札幌
    • 年月日
      20120909-20120912

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公開日: 2014-07-24  

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