研究課題/領域番号 |
24790832
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 恵美子 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20466543)
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キーワード | 尿毒症物質 / 慢性腎臓病 / グアニジノ化合物 / インドキシル硫酸 / カルボニル物質 / バイオマーカー |
研究概要 |
本研究は、増加する透析患者に歯止めをかけるため早期に腎障害を発見することができるバイオマーカーを探索することを目的としている。慢性腎臓病(CKD)は、老廃物の排泄がうまくいかないことから、薬物や代謝物が血中に蓄積する。この原因は糸球体濾過機能が低下することで引き起こると考えられてきたが、近年CKDにおいてトランスポーターの発現量および機能が変化するという報告が多くされている。SCL4C1は尿細管基底側に発現するorganic anion transporting polypeptide (OATP)トランスポーターであるが、CKD患者で薬物や代謝物の他に尿毒症物質を尿へ排泄する役割を担っている。近年、グアニジノ化合物の排泄にSLCO4C1が関与していること、さらにタンパク質結合尿毒症物質の排泄には残腎機能が重要であることが報告されている。本研究ではCKD患者の中でも腹膜透析患者を対象として、尿毒症物質(特にカルボニル物質、グアニジノ化合物、インドキシル硫酸などのタンパク質結合尿毒症物質)を測定し、患者の病態や残腎機能、投与薬剤との関連について検討を行い、マーカーとしての意義づけを行う。さらに昇圧物質であるアンジオテンシン代謝物についても測定を行っている。現在、腹膜透析患者の腹膜平衡試験(PET)で得られる腹膜透析排液、血漿、および尿検体が約550検体(患者数としては約40名)を回収することができた。現在、半数以上の検体における尿毒症物質の測定が終了している。今後、臨床データと結果を照合しデータを解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が産前産後休暇であったため、研究が一時中断していた。しかし、研究代表者が産前産後の休暇中も検体は回収されていたため、着実に検体数は増やすことができた。また研究代表者が復帰後、尿毒症物質を順調に測定したためおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、グアニジノ化合物、タンパク質結合尿毒症物質の測定を行っているため、引き続き、残りの検体の測定およびデータの解析を行う。近年、インドキシル硫酸が炎症マーカーであるMCP-1の近位尿細管での発現を活性酸素の産生を介してアップレギュレートしていることが報告された。さらにインドキシル硫酸が腹膜透析患者において、心血管イベントと腹膜透析における傷害イベントに関与していることが報告された。本研究ではインドキシル硫酸以外のタンパク質結合尿毒症物質とさらにグアニジノ化合物が腹膜透析における心血管イベントや腹膜透析における傷害イベントを予測するサロゲートマーカーとして、さらに投与した薬剤のマーカーとして意義付けを行うため、測定データと臨床データから検討を行う。
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