研究課題
慢性酸化ストレスのミネラロコルチコイド受容体の非ゲノム作用に対する影響を検討するために、生後3週零SDラットに片腎摘出および8%塩分食塩負荷を行った。脳内酸化ストレスレベルを4HNEおよびnitrotyrosine量をウェスタンブロッティング法により評価したところ、片腎摘出+塩分負荷群において発現の増加を認め、酸化ストレスが増加していることが確かめられた。介入群として、ARB(アンギオテンシン受容体ブロッカー)、ヒドララジンという降圧薬を用いて血圧、脳内酸化ストレスレベルを評価した。血圧はARB,ヒドララジンともに同程度まで低下していたが、脳内酸化ストレスはARBで有意に低下していた。この状態での海馬CA1におけるfield EPSPsのアルドステロン投与による変化を検討したところ、塩分負荷群、塩分負荷+ヒドララジン群においてfEPSPsの上昇が消失した。ミネラロコルチコイド受容体の非ゲノム作用が消失する原因を検討するため、海馬スライスおよびHEK293を用い、酸化ストレスを加えた際の膜のミネラロコルチコイド受容体の発現量を検討した。すると酸化ストレスにより細胞質のミネラロコルチコイド受容体発現に変化は認められないものの、膜のミネラロコルチコイド受容体の発現低下がみられた。海馬においてミネラロコルチコイド受容体の非ゲノム作用は記憶の獲得に重要であることがすでに分かっており、慢性の酸化ストレスは、膜のミネラロコルチコイド受容体の発現を低下させることによって消失させていることが明らかとなった。
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