研究課題/領域番号 |
24790837
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山本 卓 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (70444156)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | HDL / マクロファージ / CKD |
研究概要 |
(1) 慢性腎臓病(CKD)患者あるいは非CKD患者でAST-120またはアンギオテンシンII受容体拮抗薬の使用を開始した前後の血漿を採取した。採取した血漿からHDLを密度勾配遠心法にて精製した。精製はQuickGel; Lipoprotein Electrophoresis Systemを用いて確認した。 (2) THP-1マクロファージとHDLを反応させ、細胞から脂質を取り込む反応 (cholesterol efflux)や炎症反応を観察する実験系を確立した。THP-1マクロファージにCKD患者あるいは非CKD患者各8例から精製したHDLを反応させた。CKD患者由来のHDLは非CKD患者由来HDLと比較してアセチル化LDLで泡沫細胞化させたTHP-1マクロファージ内の脂質の取り込みを減少させた。またCKD患者由来のHDLは非CKD患者由来HDLと比較して、リポポリサッカライドで刺激したTHP-1マクロファージのIL-1beta, TNF-alfaのmRNAの発現を増強した。 (3)患者から末梢血を採取し、Lymphoprepを用いて単球を単離した。単球をM-CSFあるいはGM-CSFで培養し、マクロファージに分化させることを確認した。CKD患者由来末梢血マクロファージは非CKD患者由来末梢血マクロファージと比較してLPSで刺激した際のIL-1beta, TNF-alfaのmRNAの発現を増強した。 (4)非CKD患者由来末梢血マクロファージに尿毒素分子のひとつであるインドキシル硫酸を反応さえると(3)と同様に炎症反応の増強を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の先行した研究として血液透析患者由来HDLのマクロファージに対する機能異常を学会、論文で報告できた (Yamamoto S. J Am Coll Cardiol, 2012)。 患者は治療薬介入期間もあり今後も血漿の採取、HDLの精製の継続が必要である。 反応条件の設定は当該年度に達成されたので、検体の採取、精製が終了したのち直ちに調査を開始できる。
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今後の研究の推進方策 |
計画されたとおり、CKD患者でAST-120あるいはアンギオテンシンII受容体拮抗薬の使用前後のHDLの精製を継続する。 精製したHDLを用いて当該年度に確立した反応系を用いて、HDLのマクロファージに対する機能異常における治療介入の影響を評価する。 治療介入の影響と機序を明らかにしたうえ、国際学会での発表、論文化を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
HDLのマクロファージに対する機能異常を測定するため、細胞培養、脂質測定、mRNAの発現測定のために研究費を使用する。 国際学会発表のため旅費を要する。 論文化を進めた際、英文校正を行う。
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