研究課題/領域番号 |
24790837
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山本 卓 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (70444156)
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キーワード | 慢性腎臓病 / 動脈硬化症 / インドキシル硫酸 / AST-120 / HDL / マクロファージ / cholesterol efflux / reactive oxygen species |
研究概要 |
昨年度は(1) 慢性腎臓病 (CKD)患者と非CKD患者からの血漿を密度勾配超遠心法によりhigh density lipoprotein (HDL)を精製した。(2)THP-1細胞から分化したマクロファージ (THP-1 マクロファージ)に非CKD由来HDLとリポポリサッカライド (LPS) を反応させて炎症反応の調査、非CKD患者由来HDLとアセチル化LDLを反応させて細胞内脂質量の調査 (cholesterol efflux)の測定系を確立した。(3) 尿毒素物質の一つであり、AST-120による減少効果のあるインドキシル硫酸がマクロファージの炎症反応を増強した。 本年度は (1)CKD患者にAST-120を使用し、使用開始前、使用開始後4か月後の血漿から密度勾配超遠心法によりHDLを精製した。AST-120の使用継続困難例や使用中断例が多く、サンプルが集まるまで時間を要した。(2) 得られたHDLを用いてTHP-1マクロファージとの炎症反応やcholesterol effluxを観察する準備を進めた。またHDL中のアルブミンの酸化度を調査し、CKD患者由来HDLに酸化アルブミンを多く含んでいることを見出した。 (3) インドキシル硫酸はTHP-1マクロファージのIL-1betaやTNF-alfaの産生だけでなく、reactive oxygen speciesの産生も亢進した。さらにインドキシル硫酸はマクロファージcholesterol effluxを減少することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
順調であった点:マクロファージのHDLによる炎症反応やcholesterol effluxの測定は確立した。AST-120の標的尿毒素物質であるインドキシル硫酸はマクロファージの機能障害を引き起こすことを明らかにし、AST-120によるインドキシル硫酸減少の意義を見出した。 順調でなかった点と理由:CKD患者にAST-120を使用し、使用開始前、使用開始後4か月後の血漿から密度勾配超遠心法によりHDLを精製したが、AST-120の使用継続困難例や使用中断例が多く、サンプルが集まるまで時間を要した。現時点でサンプリングは終了している。
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今後の研究の推進方策 |
AST-120使用前後のCKD患者由来HDLとマクロファージの反応を行い、炎症反応、cholesterol effluxの調査を行い終了する。 CKDによるHDLの機能障害とAST-120の効果を示唆するHDL中の構成分子の量、質的変化について観察し、CKDのHDL機能障害の原因とそれに対する治療法の解明について考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
CKD患者にAST-120を使用し、使用開始前、使用開始後4か月後の血漿から密度勾配超遠心法によりHDLを精製したが、AST-120の使用継続困難例や使用中断例が多く、サンプルが集まるまで時間を要した。現時点でサンプリングは終了している。 精製したHDLを用いてマクロファージの炎症反応とcholesterol effluxを測定する。次年度使用額はその測定費に使用する。
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