研究課題
慢性腎臓病患者で増悪する動脈硬化症のメカニズムを解明するため、動脈硬化病変内マクロファージとHDLコレステロールの機能異常について調査を行った。腎臓病病におけるHDLコレステロールの機能異常を調査するため、慢性腎臓病患者ステージ4-5 (eGFR 10-30 ml/min)の患者に経口吸着炭薬AST-120を使用し、使用前後のHDLを採取した。AST-120は腸管内でインドールを吸着、排泄することにより腎臓病患者の血中インドキシル硫酸を減少させ、腎保護作用があることが知られている。HDLとTHP-1細胞を分化したマクロファージ(THP-1マクロファージ)を反応させた結果、AST-120使用後のHDLは非使用HDLと比較してマクロファージからの脂質引き抜き能 (cholesterol efflux)および炎症反応(IL-1beta, TNF-alfa, MCP-1)の軽度改善を認めた。また腎臓病におけるマクロファージの機能異常を調査するため、THP-1マクロファージに尿毒素物質の一つであるインドキシル硫酸を反応させた。インドキシル硫酸はTHP-1マクロファージの炎症反応を強力に惹起し、またcholesterol effluxを低下させた。以上から腎臓病では尿毒素物質、とくにインドキシル硫酸がマクロファージおよびHDLコレステロールに作用することにより、ぞれぞれの機能異常を生じた結果、動脈硬化が進展する可能性が示唆された。
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