腎糸球体上皮細胞(ポドサイト)の細胞間接着装置であるスリット膜の濾過障壁形成・維持におけるシナプス小胞様輸送機構の役割について、シナプス小胞分子SV2B遺伝子破壊(KO)マウスを用いて解析を行った。SV2B KOマウスでは、野生型マウスと比較して有意な蛋白尿を呈し、スリット膜構成分子の異常局在が観察された。また、SV2Bがスリット膜構成分子Nephrin、CD2APと相互作用していることを明らかにした。以上より、シナプス小胞様輸送機構がポドサイトスリット膜のバリア機能に重要な役割を果たしていることが示され、シナプス小胞輸送関連分子が蛋白尿に対する新たな治療のターゲットとなることが考えられる。
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