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2013 年度 実施状況報告書

新規ポドサイト発現蛋白・デンドリンを用いたIgA腎症進行度診断法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24790858
研究機関順天堂大学

研究代表者

児玉 史子  順天堂大学, 医学部, 助教 (60599893)

キーワードdendrin / ポドサイト / IgA腎症 / 慢性腎不全 / 慢性糸球体腎炎
研究概要

IgA腎症は、我が国において患者数が最も多い慢性糸球体腎炎である。糸球体硬化への進展に伴い、その約25-40%は末期腎不全に至り、最終的には透析療法が必要になる可能性が高い。糸球体硬化へ至る過程には糸球体上皮細胞(ポドサイト)障害が関与しており、ポドサイト障害は蛋白尿を引き起こす原因ともなる。我々は、dendrinのポドサイト核への移行が、ポドサイトのアポトーシスを誘発することを報告している。
ポドサイト障害がCathepsin Lの活性化を生じ、ポドサイトの足突起消失を引き起こすという報告がある。IgA腎症、微小変化型ネフローゼ症候群等の腎組織を用いた検討から、ポドサイトでのCathepsin Lの増加がdendrinの核移行を促進し、アポトーシスを増加させた結果を得られた。上記の結果も含めて、Translocation of dendrin to the podocyte nucleus in acute glomerular injury in patients with IgA nephropathy. (Nephrol Dial Transplant. 2013; 28(7):1762-72.)にて報告した。
アドリアマイシン腎症マウスは、ポドサイト障害・蛋白尿・糸球体硬化を生じる。アドリアマイシン腎症マウスにアンジオテンシンII 受容体拮抗薬・活性型ビタミンDアナログを投与すると、腎保護的な効果(尿蛋白量の減少、糸球体硬化数の減少)を認めた。さらに、培養ポドサイトを用いた同様の検討では、抗アポトーシス作用がみられた。今後は、これらの薬剤の効果とdenrdrinの核移行の関連を検討する。
IgA腎症進行度診断法として、IgA腎症患者の尿中メガリンの測定を検討している。メガリンは近位尿細管に発現し、糸球体障害・尿細管障害が生じると、尿中への脱落が増加する。糖尿病腎症では病期の進行と尿中メガリン値に相関がみられたと報告されている。IgA腎症患者の尿中メガリンと腎組織所見との関連の検討をすすめている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

IgA腎症患者におけるdendrinの核移行に関して論文にて報告した。アンジオテンシンII 受容体拮抗薬・活性型ビタミンDアナログがポドサイトのアポトーシスを抑制する作用を認めたため、アドリアマイシン腎症マウスでの治療効果とdendrinの核移行に関する検討をすすめている。研究の目的の達成度はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

dendrinの核移行がIgA腎症患者の臨床経過・ステロイド療法・扁桃摘出術・尿蛋白抑制薬などの治療経過と相関するのか、引き続き検討していく。さらに、腎炎モデルマウスにおいて、dendrinの核移行と治療の効果(アンジオテンシンII 受容体拮抗薬・活性型ビタミンDアナログ等)を検討中である。
IgA腎症進行度診断法として、尿中メガリンの測定を行っている。IgA腎症患者の尿中メガリン値と腎組織病変の関連を検討中である。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は9212円であり、必要な試薬類は次年度に購入するために生じてしまった。
使用計画に関しては大きな変更はなく、動物実験等に使用する試薬の購入に使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Translocation of dendrin to the podocyte nucleus in acute glomerular injury in patients with IgA nephropathy2013

    • 著者名/発表者名
      Kodama F, Asanuma K, Takagi M, Hidaka T, Asanuma E, Fukuda H, Seki T, Takeda Y, Hosoe-Nagai Y, Asao R, Horikoshi S, Tomino Y.
    • 雑誌名

      Nephrology Dialysis Transplantation

      巻: 28 ページ: 1762-72

    • DOI

      10.1093/ndt/gfs500

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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