研究課題/領域番号 |
24790859
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
梶山 忠弘 順天堂大学, 医学部, 助教 (40621941)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / スイス ジュネーブ |
研究概要 |
これまでIgA腎症自然発症動物モデルマウスを用いた検討によりIgA腎症の病因が明らかにされてきたが、げっ歯類は口蓋扁桃を有さないため、これまでIgA腎症の病因への関与が強く示唆されている扁桃への免疫学的アプローチが困難であった。ある種のブタはほぼ全例がIgA腎症を発症することが知られ、さらに扁桃を有しているため、扁桃細胞を用いた分子レベルでの解析、さらには特異的な分子標的治療への応用ができると考え、IgA腎症ブタモデルを確立することを本研究の目的とした。 我々はこれまで一般的な雑種ブタや遺伝的に均一なマイクロミニピッグを用いた検討で、月齢1.5ヶ月の時点で糸球体にIgAやIgGの沈着を伴うメサンギウム増殖性変化が出現しており、一部の個体で尿蛋白が出現していることを確認した。また、ある種のブタでは月齢に伴い血清IgAが上昇し、また、SPF飼育郡と比較しconventional飼育郡で腎病変が重症化する可能性が示唆され、外来抗原と腎症との関連が示唆された。 また、ヒトIgA腎症の病因に糖鎖異常IgAの深い関与が示唆されており、スイス・ジュネーブ大学出井博士との共同研究でブタIgAの糖鎖解析を開始した。 今後継時的に腎症や扁桃組織の表現型解析を目的に、腎症を発症していることをすでに確認しており遺伝的に均一であるマイクロミニピッグ4匹を山梨県小淵沢のCMIC社で委託飼育を開始し、解析に着手し始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
委託飼育でマイクロミニピッグの表現型解析を開始できており、他施設との共同研究でIgAの抽出とIgAの糖鎖解析を開始している。さらに、今後ブタへの口蓋扁桃摘出術施行を視野に、他大学獣医学部と研究計画を施策中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は委託飼育しているマイクロミニピッグに対し継時的に腎生検や血清、尿採取を行い、腎症の発症時期や重症化する時期など表現型の解析を継続して行う。飼育を開始した4匹中1匹は月齢4ヶ月で屠殺し、口蓋扁桃を摘出し各種免疫担当細胞(B細胞、T細胞、樹状細胞)やサイトカイン(APRIL、BAFF)、IgAの免疫染色を行い、細胞分子レベルでの免疫学的解析を進める。IgAの糖鎖解析についてスイス・ジュネーブ大学出井博士との共同研究を進めるとともに、ヒトやモデルマウスでIgA腎症の病態に深い関与の示唆される糖鎖異常IgAや、糖鎖異常IgAを認識するIgG抗体やIgA抗体の存在を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
各種免疫染色用抗体やIgA抽出用抗体、ELISA等の実験試薬、ブタの委託飼育費、ブタの屠殺・解剖費、ブタのサンプル採取費用、腎生検バイオプティーガン購入費、ブタ委託施設への交通費、学会参加目的の旅費。
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