研究課題/領域番号 |
24790868
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加納 崇裕 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20374324)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 脳・神経 / 脳神経疾患 / オートファジー |
研究概要 |
神経変性疾患におけるMULとFIP200の発現とニューロン変性の関係を検討する目的で、過去に剖検されたパーキンソン病、オリーブ橋小脳萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、脳腫瘍(健常側)の病理検体の大脳皮質、小脳皮質に対して、抗FIP200抗体ならびに抗MUL抗体によって免疫組織染色をそれぞれの疾患で数例ずつ行った。脳腫瘍剖検例の健常側は正常コントロールとして用いた。染色条件や使用する抗体を適宜変更して実験を進めたが、今のところ有意に染色されたものは殆どない。筋萎縮性側索硬化症で小脳皮質プルキンエ細胞におけるFIP200の染色性が低下するように思われたが、今までのところコントロールと比較して有意な結果とまではいえない。今後も条件検討を行いながら神経変性疾患の検体におけるFIP200とMULの発現を評価することで、これらの蛋白質の神経変性疾患の病態との関連さらにはオートファジー制御とその破綻による発病というプロセルへの関与を検討したい。 GFPタグ蛋白質を融合したLC3のウイルスベクター作成が完成していない。オートファゴソーム観察目的のこの標識蛋白恒常発現細胞の作製に成功していない状態である。培養細胞系の実験にはまだ入っていない状態であるため比較検討は行えていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、研究に費やす予定であった時間が十分に確保出来ず、大幅に遅れている。特に細胞系、ウイルスベクター作成の基礎実験にかかる時間が確保出来ていない。免疫組織染色でも当初期待していた結果が出ておらず、今後の実験方法の修正、検討が必要と考える。
|
今後の研究の推進方策 |
病理学的検索を中心に進めていくこととする。今後も培養細胞系の作業に大幅な遅れが生じることが予想されるが、免疫組織染色は今後症例を集め、特に筋萎縮性側索硬化症におけるFIP200とMULの発現状態を検討することで、その二つの蛋白質の変性疾患への関わり、またオートファジー機構の破綻が神経変性疾患の発病プロセスに関わることを照明するものになると考える。最近、筋萎縮性側索硬化症の発病にオートファジー機構の破綻の関与を示唆する研究成果も報告されている。この疾患だけでなくパーキンソン病やアルツハイマー病などの他の神経変性疾患についても関係性を証明したい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は診療などの業務への従事により研究に費やす時間が十分に確保出来なかった。そのため購入予定であった消耗品類や実験器具類の購入に研究費を使用できなかった。本年度は研究へ割く時間を増やし遅れている分を取り戻す予定である。昨年購入できなかった抗体などの免疫組織染色に必要な消耗品の購入、染色に必要な物品の購入、また免疫電気泳動などに使用する器具の購入に研究費を使用する予定である。さらにはこれらの実験結果を発表するための諸経費として使用する。
|