研究課題
慢性甲状腺炎に伴う自己免疫性脳症(橋本脳症)は治療可能な疾患であり,脊髄小脳変性症(SCD)類似の臨床像を呈することがあり(小脳失調型橋本脳症),鑑別疾患上重要である.また,我々の研究グループでは橋本脳症に対する血清中特異的自己抗体(抗NAE抗体)を同定し,その後国内外から解析依頼を受けている.<小脳失調型橋本脳症の臨床研究> 平成24年度に臨床研究として13例を対象に臨床像の詳細な検討を行い,SCDとの相違点を中心に解析し,Eur Neurolに投稿,掲載された.最終年度はその結果を雑誌に掲載し,国内へ発信した.また,他の原因による自己免疫性小脳失調症に関する海外の研究者らと共に,自己免疫性小脳失調についての総説を投稿準備中である.<小脳失調型橋本脳症の病態研究> ①分子機構の解明:平成24年度はラット小脳細胞の培養を行ったがタンパク質量が十分確保できなかった.そこで最終年度は,ヒト血液脳関門の不死化血管内皮細胞を用いてプロテオーム解析を施行した.患者血清を血管内皮細胞に添加後に優位に上昇する蛋白スポットが存在することが蛍光標識二次元ディファレンシアル電気泳動法にて明らかとなった.現在もその蛋白質の詳細な分析をMALDI-TOF MS法にて解析中である. ②生理機能解析:パッチクランプ法を用いてラット小脳スライスで小脳プルキンエ細胞のシナプス伝達の解析を行った.患者髄液添加により,小脳プルキンエ細胞のシナプス伝達の障害が生じることが明らかとなり,現在も論文投稿中である.
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DOI: 10.1159/000358220
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