研究課題/領域番号 |
24790882
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡崎 周平 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60623072)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 頸動脈内中膜複合体 / 超音波プラーク輝度 / 遺伝子多型 / 炎症マーカー |
研究概要 |
①頸動脈プラーク輝度と心血管イベント発症との関連 OSACA2登録患者のうち、頸動脈超音波検査にて最大厚プラークにおける超音波輝度の定量的評価(IBS index)を行った625例について、心血管病の新規発症を前向きに追跡し、IBS indexと心血管病新規発症の関連について調査した。平均追跡期間は6.4±3.0年で、心血管病の新規発症は134例であった。Cox比例ハザード解析では、IBS indexが低下すると有意に心血管病発症率の上昇が認められた。最大内中膜複合体厚(max IMT)による層別化解析では、max IMT≦2.0mmの群ではIBS indexと心血管病の発症率に関連は認められなかったが、max IMT>2.0mmの群ではIBS indexと心血管病の発症率に有意な関連があった。以上より、プラーク厚が2mm以上の症例で頸動脈プラーク超音波輝度の低値は、将来の心血管病発症の危険因子であることが示された。 ②長期フォロー症例における頸動脈IMT/プラーク輝度経時的変化の危険因子の検索 OSACA2登録患者のうち、長期フォローが可能であった210例について慢性炎症とIMT進展の関連について検討を行った。高感度CRP、IL-6、IL-18といった炎症マーカーはいずれもIMT進展と有意な相関があったが、既知の危険因子で補正した重回帰分析ではIL-6のみでIMT進展と有意な正の相関が認められた。血中IL-6濃度は危険因子が厳重に管理されたハイリスク患者において、動脈硬化進展のマーカーとなることが示された。 ③遺伝子多型が脳血管イベントおよびIMT/プラーク輝度経時的変化に与える影響について 遺伝子検査の同意を得た1043例について、IL-6およびCRP受容体遺伝子のSNP解析を行い、脳血管イベントおよびIMT/プラーク輝度との関連について、現在、解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にあった頸動脈プラーク超音波輝度の測定および血清バイオマーカーの測定については、計画通り達成できており、おおむね解析も完了しつつある。IL-6および高感度CRP受容体遺伝子のSNPアレイを用いた遺伝子多型の解析については系の確立に時間を要したが、ほぼ見通しがついており、次年度に解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の初めに、まずCRP受容体遺伝子のSNP解析および評価を行う。これに加えて既に本年度に解析している登録時および追跡中のIL-6濃度、高感度CRP濃度、およびIL-6受容体遺伝子多型と心血管イベントの発症率やIMTの進展・超音波プラーク輝度との関連を明らかにする。また本年度より参加していた国際的多施設共同研究によるメタ解析も行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
CRP受容体遺伝子のSNP解析の新規開発に25万円前後、解析に100万円前後の予算を予定している。また画像解析に用いるソフトとしてAdobe Photoshop、統計に用いるソフトとしてSPSS等の購入を検討している。
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