研究課題
本年度は慢性炎症性脱髄性根ニューロパチー(CIDP)患者/多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者血清を作用させて,血液神経関門(BNB)構成血管内皮から局所的に放出されるサイトカイン/ケモカインを網羅的に解析した.非対称型CIDP/MMN患者血清を作用させるとBNB構成内皮が産生するIP-10が増加することを明らかとし,T細胞のBNBを超えた末梢神経内侵入を惹起するメカニズムを推測した.この3年間でCIDP/MMN患者血清がBNB破綻を引き起こす分子メカニズムを解明した.CIDP患者を対象とした研究では,典型的CIDP/非対称型CIDP患者血清を作用させるとBNB in vitroモデルでのバリアー機能を反映する電気抵抗値が低下し,tight junction関連蛋白であるclaudin-5蛋白量が低下することを示した.さらに,CIDP患者血清を作用させることで認められるBNB in vitroモデルのバリアー破綻の程度が,臨床症状の重症度や神経幹部の脱髄所見などのCIDP臨床パラメーターと有意に相関することを明らかとした(PLOS One 2014; 9: e104205).MMN患者を対象とした研究では,1.MMN患者血清を作用させるとBNB in vitroモデルの電気抵抗値が低下し,claudin-5蛋白量が低下し,細胞接着因子であるVCAM-1蛋白量が増加すること,2. MMN患者血清中に含まれるBNB構成内皮に対する自己抗体と血清を作用させることでBNB構成内皮からautocrineに放出されるVEGFがBNB破綻を惹起させる重要な分子であることを明らかとした (J Neurol Neurosurg Psychiatry 2014; 85: 526-37). 本研究で得られた成果はBNBに照準を絞った新たなCIDP/MMNの治療に発展することが期待される.
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PLoS One
巻: 10 ページ: e0122000
10.1371/journal.pone.0122000.
巻: 10 ページ: e0121488
10.1371/journal.pone.0121488.
PLOS One
巻: 9 ページ: e104205
10.1371/journal.pone.0104205.
巻: 9 ページ: e92872
10.1371/journal.pone.0092872.
Clinical and Experimental Neuroimmunology
巻: 5 ページ: 2-3
J Neurol Neurosurg Psychiatry
巻: 85 ページ: 419-430
10.1136/jnnp-2013-305907.
巻: 85 ページ: 526-537
10.1136/jnnp-2013-305405.