多発性硬化症ではNotch4遺伝子多型により罹患率の変化が見られることを、当科のHuangらが報告した(Mult Scler 2013)。この結果に基づき、Notch4機能が神経炎症性疾患に及ぼす影響を解析するため、我々はマウスに実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘発し、病理所見を検討したところ、脊髄EAE病変部では、浸潤炎症細胞の一部にNotch4mRNA陽性細胞が散見された。これらの細胞種類を同定するため、同マウスの脾臓を抗Notch4抗体で染色したところ、marginal zoneにNotch4陽性細胞がみられた。これらの細胞は、健常マウス脾臓と比較しEAEマウス脾臓で減少していたことから、中枢神経炎症に伴って脾臓から脊髄病変部へ動員されている可能性が示唆された。また、脾臓におけるこれらの細胞の分布は、CD11c陽性樹状細胞と一致していたことから、樹状細胞の一部であることが推察された。今後はNotch4遺伝子改変マウスにおけるEAEの臨床症状、病理所見を観察・検討し、Notch4陽性細胞の機能解析を行う予定。
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