研究課題/領域番号 |
24790896
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
柴 佳保里 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30468582)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | PINK1 / Parkin / マイトファジー |
研究概要 |
本研究では、遺伝性パーキンソン病原因遺伝子産物PINK1とParkinに関与する不良ミトコンドリアの除去機構(マイトファジー)関連因子の同定とその分子の役割の解明を進めてきた。既に同定していたPINK1/Parkin結合分子の中から培養細胞を用いたスクリーニングを行った結果、マイトファジー関連因子としてFKBP38を同定した。具体的には、RNA干渉法でFKBP38の発現量を阻害すると膜電位低下時においてもParkin依存的なマイトファジーは誘導されなかった。さらに、FKBP38の生理的意義、またPINK1/Parkinに対する遺伝学的相互作用の有無を確認する為、現在、FKBP38ノックアウト及びトランスジェニックショウジョウバエを作製し解析を進めている。 一方で、Parkinのユビキチン様ドメイン(Ubl)の65番目のセリン残基(Ser65)がミトコンドリア膜電位低下時、PINK1依存的にリン酸化修飾されることを見出した。Ser65の非リン酸化型Parkinを作製しマイトファジーを観察した結果、Parkinのミトコンドリア移行とミトコンドリア外膜分子群の分解が遅延したことから、PINK1によるParkinのリン酸化修飾がPINK1/Parkin依存的なマイトファジーに必要であることを確認した。しかし、非リン酸化型Parkinがマイトファジーを完全に阻害しないこと、ミトコンドリアに移行できないParkinの病因変異型もリン酸化修飾されることから、PINK1によるParkin Ser65リン酸化修飾はマイトファジーに必須ではないことも示唆された。続いて、Parkin Ser65の生理的な意義を解明する為、非リン酸化型とリン酸化擬態型Parkinを過剰発現させたショウジョウバエを作製し、Parkin欠失ショウジョウバエで観察される表現型に与える影響を観察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の主な目的であったPINK1/Parkinマイトファジーに関与する候補因子を同定し、ショウジョウバエを用いてその生理的意義とPINK1/Parkinとの遺伝学的な相互作用の有無を検討するところまで来ている。さらに、マイトファジーの初期段階で必要とされるPINK1依存的なParkinのSer65リン酸化修飾を見出し、PINK1/Parkinマイトファジーの分子機構を一部解明した。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
FKBP38の生理的・病理的役割、PINK1/Parkinに対する遺伝学的相互作用の有無を確認する為、FKBP38のノックアウト及びトランスジェニックショウジョウバエとPINK1/Parkin 欠失ショウジョウバエと掛け合わせ、PINK1/Parkin欠失表現型に与える影響を観察する。また、PINK1/Parkinが協働してミトコンドリア輸送に関与する報告もあるので、FKBP38のミトコンドリア輸送への影響を合わせて検討する。得られた表現型から関連分子との相互作用を検討し、PINK1/Parkin誘導マイトファジーのどの段階でどのように作用するのかを生化学的・細胞生物学的手法を合わせて明らかにする。 Parkin Ser65リン酸化修飾の生理的意義を明らかにする為、非リン酸化型とリン酸化擬態型Parkinを過剰発現させたショウジョウバエを作製し、ミトコンドリアの機能に対してどのような影響を与えるか観察する。また、Parkin Ser65がマイトファジーのどの段階(Parkin E3活性の活性化、Parkinの複合体形成過程、Parkinのミトコンドリア移行)に関与するかを生化学的・細胞生物学的手法を合わせて明らかにする。さらに、ミトコンドリア膜電位低下依存的なParkinの結合分子を同定し、Parkinのミトコンドリア移行メカニズムの分子レベルの解明とParkin Ser65リン酸化修飾との関連を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、物品費で生化学試薬や抗体、ショウジョウバエ飼育費用等に755,000円を当てる予定である。旅費に関しては国際学会参加を予定しており、230,000円計上した。また、研究拡大の為、技術補佐員を雇用する予定であり、人件費として約400,000円必要とする。
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