HTLV-1は、感染者の一部に脊髄の慢性炎症性疾患であるHAMを引き起こす。申請者のこれまでの研究から、制御性T細胞(Treg)におけるHTLV-1機能遺伝子Taxの発現がHAMにおける炎症性T細胞の発生に関与し、HAM病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。本研究では、Treg特異的Tax発現ノックインマウスを作製し、個体レベルでの検討を行った。その結果、耳介と尾部における慢性炎症像、脾細胞からの異常な炎症性サイトカイン産生および自己免疫性の炎症に対する感受性の変化が観察された。従って、TregにおけるTaxの発現は生体に異常な免疫状態を誘導し得ることが明らかとなった。
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