研究課題
細胞膜上にはlipid raftsというシグナル伝達分子や糖脂質が局在するマイクロドメインが存在する。我々は、抗GM1抗体が、神経細胞の生存・分化に必須の神経成長因子(NGF)の高親和性受容体であるTrkを介するシグナル伝達系を障害し、それが通常rafts上に存在しているTrkの非raftsへの局在変化によることを発見し報告した。しかし、抗GM1抗体によるraftsの機能や構造変化の解明は不十分であった。Trkの局在の変化を明らかにするため、PC12細胞にTrkを高発現させたstable transfectantであるPCtrk細胞(PCT)を実験に使用した。PCTを抗GM1抗体で処理し、subcellular fractionation 法で、膜画分、細胞質画分、核画分を得た。抗Trk抗体を一次抗体としてWestern blot法を行い、各画分から陽性Bandを検出した。免疫蛍光細胞染色法も実施した。結果を分析し統計処理を行った。一方で、Trkの局在しているraftsそのものに対する抗GM1抗体の影響も併せて検討した。中性スフィンゴミエリナーゼ(nSMase)はraftsの重要な構成分子であるスフィンゴミエリンを分解し、GM1の基質となるセラミドを産生する。このため、raftsの機能や構造変化に重要な役割を果たしていることが予測され、我々はnSMaseに着目し、前述のsubcellular fractionation法で得られた各画分のnSMase活性の変化を調べた。その結果、抗GM1抗体により膜画分においてnSMase活性に変化があることを見出した(論文投稿準備中)。また、抗GM1抗体の作用により、細胞内及びmembrane rafts内での脂質組成が大きく変化することを見出した。この脂質組成の変化が、nSMase活性に何らかの関連をもつのか、今後明らかにしたい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
Brain Research
巻: 1596 ページ: 13-21
10.1016/j.brainres.2014.11.041
Frontiers in Bioscience
巻: 20 ページ: 303-313
Toxicology
巻: 331 ページ: 112-118
10.1016/j.tox.2015.01.013
巻: 1583 ページ: 237-244
10.1016/j.brainres.2014.08.014