研究概要 |
1 PDIP1が脂肪細胞分化に及ぼす影響 マウスPDIP1遺伝子に特異的なsiRNAとコントロールsiRNAを2種類づつ作製し、エレクトロポレーション法にて3T3-L1前駆脂肪細胞に導入した。2日後にtotal RNAを抽出しコントロールに比べPDIP1 mRNAが約50~60%ノックダウンされていることを確認した。次にPDIP1をノックダウンした3T3-L1前駆脂肪細胞とコントロール細胞を通常の方法により脂肪細胞への分化誘導を行った。分化誘導6日後にoil red O染色を行ったところPDIP1をノックダウンした細胞ではコントロールに比べて中性脂肪の蓄積量が有意に低下していることが判明した。定量的RT-PCR法でもFabp4, Retn, Adipoq, Ppargなどの脂肪細胞特異的な遺伝子の発現が有意に低下していた。次に分化誘導0.5, 1, 2, 4, 8, 12, 24, 48時間後に脂肪細胞分化初期に誘導される転写因子の遺伝子発現を比較したが、Cebpb, Cebpd, Klf5, Egr2, Cebpa遺伝子の発現はPDIP1ノックダウン細胞とコントロールとでは有意な差はなかった。以上の結果からPDIP1は脂肪細胞分化後期において分化促進的に機能することが示唆された。 2 脂肪細胞においてPDIP1で制御される遺伝子の網羅的同定 野生型マウスまたはPDIP遺伝子欠失マウスに標準餌あるいは高脂肪食を摂取させた(n=5)。20週齢でマウスを安楽死させた後、精巣上体周囲の白色脂肪組織からRNAを抽出した。それぞれの群のRNAを混合した後にDNAマイクロアレイ解析を行った。2倍以上または1/2以下の遺伝子発現の差をカットオフ値とすると、標準餌ではPDIP1遺伝子で制御される遺伝子が1362個抽出され、高脂肪食では1626個抽出された。
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