研究課題/領域番号 |
24790908
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩部 美紀 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70392529)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アディポネクチン / アディポネクチン受容体 / 動脈硬化 / マクロファージ / 血管 |
研究概要 |
わが国で死因の上位を占める心血管疾患の主要な原因であるメタボリックシンドローム・2型糖尿病は、激増しており、その主因が肥満に伴うアディポネクチン/アディポネクチン受容体(AdipoR)シグナルの作用低下であることを明らかにしてきた(Nat.Med.13:332,2007)。一方で、アディポネクチンは血管において抗動脈硬化作用を有するが、その作用における受容体(AdipoR)の意義及びその詳細なメカニズムについては、明らかとなっていない。本研究課題では、動脈硬化発症に重要な組織である血管内皮およびマクロファージにおけるアディポネクチン/AdipoRの細胞内シグナルを明らかにし、抗動脈硬化作用メカニズムの解明を目的とした。 (1)血管内皮におけるアディポネクチン/AdipoR2の抗動脈硬化作用メカニズムの解明 血管内皮特異的AdipoR2欠損マウスを用いて、カフ障害に対する内膜肥厚を評価する系で、血管内皮におけるAdipoR2が抗動脈硬化作用を有することを示した。また、血管内皮特異的AdipoR2過剰発現マウスを用いて、カフ障害に対する内膜肥厚が改善することを示した。さらに、血管内皮における抗動脈硬化作用メカニズムを明らかにするために、血管内皮局所の遺伝子発現を解析した。 (2)マクロファージにおけるアディポネクチン/AdipoR1の抗動脈硬化作用メカニズムの解明 各種肥満・2型糖尿病モデルマウスのマクロファージにおける AdipoR1の発現変化を検討し、さらにマクロファージにおけるAdipoR1の抗動脈硬化作用メカニズムを明らかにするために、炎症や酸化ストレスなどに関わる遺伝子発現を検討した。また、AdipoR1欠損マウスの骨髄を移植したマウスを用いて、糖負荷試験、インスリン感受性試験などを行い、マクロファージにおけるAdipoR1の全身での糖・脂質代謝に与える影響を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度の達成目標を既にクリアしており、さらに平成25年度に予定していた血管内皮特異的PPAR γ欠損マウスの作出、解析十分数のマウスの確保に成功しており、その解析も進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の推進において、研究体制及び研究計画に大幅な変更の必要性は低いと思われ、当初の計画通り、研究を推進する予定である。本研究課題のさらなる進展・加速を目指すべく、研究協力者を含めた各人の実験の精度とスピードアップを図り、目的を早期に達成したいと考えている。具体的には下記の項目について、推進する予定である。 (1)血管内皮におけるアディポネクチン/AdipoR2の抗動脈硬化作用メカニズムの解明 平成24年度のレーザーキャプチャー法を用いた血管内皮の遺伝子解析の結果を含めて、血管内皮特異的PPARγ欠損マウスを用いアディポネクチン/AdipoR2経路のPPARγ依存的あるいは非依存的シグナルを解明する。 (2)マクロファージにおけるアディポネクチン/AdipoR1の抗動脈硬化作用メカニズムの解明 平成24年度のレーザーキャプチャー法を用いた血管内皮の遺伝子解析の結果を含めて、マクロファージにおけるアディポネクチン/AdipoR1シグナルの鍵分子を明らかにし、PPARδ依存的あるいは非依存的マクロファージの分化調節メカニズムを解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通りの使用計画を予定している。物品費として、消耗品費を中心に計上する予定である。さらに学会旅費、また、マウスの系統維持費として、その他に計上している。
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