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2012 年度 実施状況報告書

新規脂肪蓄積関連遺伝子SLC22A18の生理的機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24790909
研究機関東京大学

研究代表者

山本 隆史  東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00572033)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードメタボリックシンドローム
研究概要

(背景)SHRの2系統(SHR/IzmとSHR/NCrj) 間にみられる内臓脂肪量の差異に連鎖する遺伝子としてSLC22A18遺伝子を同定した。SLC22A18は物質輸送に関わるトランスポーターの一種と考えられているがその機能や脂肪蓄積との関連は不明である。そこでSLC22A18の脂肪細胞と肝臓における生理的機能の解明を試み以下の成果を得た。
(研究の成果)①肥満モデルであるob/obマウスとSLC22A18KOマウスの掛け合わせを行ったところ、12週齢では精巣脂肪重量が対照群に比べてKOマウスでは有意に低下が認められた。反対に、脂肪組織特異的なaP2 SLC22A18Tgマウスでは25週齢では精巣脂肪重量が対照群の約2倍に増加しており、耐糖能の悪化も認められた。②SLC22A18の発現は3T3-L1細胞の成熟脂肪細胞への分化に伴い増加し、ノックダウン実験では著明な脂肪分化の抑制と脂肪蓄積の減少が認められ、PPARg, C/EBPaといった脂肪細胞への分化誘導を制御する転写因子の発現が低下していた。レポーターアッセイの結果、SLC22A18プロモーター活性は脂肪細胞分化制御因子の一つであるC/EBPbで強く亢進することが分かった。③一方、マウス肝臓ではアデノウィルスを用いた過剰発現により著明な脂肪肝が惹起された。反対にノックダウンによりマウスの食餌誘発性の脂肪肝が改善し、脂質合成系遺伝子群の発現が低下していた。
(本成果の意義)以上のことからSLC22A18が脂肪細胞や肝臓において脂質の蓄積に関与することが明らかとなった。これらは脂肪組織や肝臓においてSLC22A18遺伝子が深く病態と関連していることを示唆しており、本研究がメタボリックシンドロームの新たな診断や治療法の開発に資することが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、SLC22A18の機能とそのメカニズムに迫るため下記の2つに取り組むものである。
1、SLC22A18の生理的機能の解明
2、SLC22A18の活性評価のためのアッセイ系の確立とその内因性基質の同定
当初の計画に従い、平成24年度はそのうち「1、SLC22A18の生理的機能の解明」に重点を置き、①遺伝子改変マウスの解析、②組み換えアデノウィルスを用いたin vivoにおける解析③3T3-L1細胞を用いた解析④肝細胞におけるSLC22A18の機能解析 などを行い、【研究実績の概要】にあるような成果を得た。その結果はSLC22A18が内臓脂肪蓄積と密接に関連していることを示しており、「2、SLC22A18の活性評価のためのアッセイ系の確立とその内因性基質の同定」作業の有用性を示すことができたと考えられる。

今後の研究の推進方策

ここまでの研究の結果、SLC22A18は脂肪組織の増加、肝脂質含量の増加を正に制御する可能性が見出され、脂質代謝における役割の一端が明らかになりつつある。今後は当初の計画に従い、主に内因性基質の候補分子の探索に重点を置いて研究を推進する。
SLC22A18KOマウスの組織サンプルを利用したメタボローム解析、in vitroでのSLC22A18の活性評価系構築などによって、内因性基質の同定により分子メカニズムの解明に迫りたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Identification of SLC22A18 as a regulator of fat accumulation in the liver2012

    • 著者名/発表者名
      Takashi Yamamoto
    • 学会等名
      日本動脈硬化学会総会・学術集会
    • 発表場所
      ヒルトン福岡シーホーク
    • 年月日
      20120720-20120720

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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