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2013 年度 実績報告書

新規非アルコール性脂肪性肝炎モデルを用いた脂肪組織・肝臓連関の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24790916
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

伊藤 美智子  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄附講座教員 (00581860)

キーワード肥満 / マクロファージ / Crown-like structure
研究概要

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は内蔵脂肪蓄積を基盤とするメタボリックシンドロームの肝臓における表現型と考えられ、その病態形成において脂肪組織は多面的な影響を有すると考えられる。申請者らは既に、メラノコルチン4型受容体欠損マウス(MC4R-KOマウス)を用いて、肥満の表現型を有する新規NASHモデルを確立し、肝病変形成に先立って、脂肪組織における炎症・線維化が認められることを明らかにした。
肥満の脂肪組織では細胞死に陥った脂肪細胞をマクロファージが取り囲むCrown-like structure (CLS)が認められることが知られているが、NASHを発症したMC4R-KOマウスの肝臓にもCLSに類似した組織像が多数認められた(hepatic CLS: CLS)。連続切片を用いた免疫染色では、hCLSの近傍にαSMA陽性筋線維芽細胞やコラーゲン沈着が認められた。クロドロネートリポソーム法によりマクロファージを消去すると、単純性脂肪肝を呈する野生型マウスではマクロファージが効率的に消失し、炎症・線維化マーカーの発現が低下した。一方、NASHを発症したMC4R欠損マウスではhCLS特異的にマクロファージが残存し、炎症・線維化マーカーの発現には変化がなかった。ヒトNAFLD/NASHにおいてもhCLSを認め、ウイルス性肝炎ではほとんど認められなかった。また、hCLS数は肝細胞障害の指標である肝細胞風船様変性のスコアと正の相関が認められた。
以上から、hCLSが炎症・線維化の中心として単純性脂肪肝から肝線維化への進展に重要な役割を果たすと考えられた。肥満脂肪組織とNASHの肝臓において、脂肪の過剰蓄積によって実質細胞(脂肪細胞や肝細胞)に障害が加わり、マクロファージとの相互作用から臓器機能障害に至る共通の分子基盤が存在する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Hepatic crown-like structure: a unique histological feature in non-alcoholic steatohepatitis in mice and humans.2013

    • 著者名/発表者名
      M. Itoh, H. Kato, T. Suganami, K. Konuma, Y. Marumoto, S. Terai, H. Sakugawa, S. Kanai, M. Hamaguchi, T. Fukaishi, S. Aoe, K. Akiyoshi, Y. Komohara, M. Takeya, I. Sakaida, Y. Ogawa
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 ページ: e82163

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0082163

    • 査読あり
  • [学会発表] NASHの病勢を反映する病理組織マーカー:hepatic crown-like structureの意義2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤美智子、菅波孝祥、小沼邦葉、丸本芳雄、寺井崇二、坂井田功、小川佳宏
    • 学会等名
      第28回日本糖尿病・肥満動物学会
    • 発表場所
      宮崎
    • 年月日
      20140214-20140215
  • [学会発表] NASH発症におけるhepatic crown-like structureの意義2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤美智子、菅波孝祥、小沼邦葉、丸本芳雄、寺井崇二、佐久川廣、坂井田功、小川佳宏
    • 学会等名
      第34回日本肥満学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20131011-20131012
  • [備考] 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 分子内分泌代謝学分野

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/grad/cme/index.html

  • [備考] 東京医科歯科大学プレスリリース

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20131212.pdf

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公開日: 2015-05-28  

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