研究課題
肥満時の脂肪組織の慢性炎症では、マクロファージが炎症の主体となる。また肥満時には内臓脂肪組織の低酸素が進行することから、脂肪組織マクロファージにおける低酸素誘導転写因子(HIF-1α)の役割を解明する目的で本研究を行なった。方法としてマクロファージ特異的HIF-1α欠損マウス(Hif1欠損マウス)の高脂肪食負荷による肥満時の代謝異常に与える影響を解析した。マクロファージのHIF-1α欠損により、内臓脂肪組織の炎症が軽減し、肝臓や骨格筋をはじめとする全身の代謝組織に対する改善効果が示された。またマクロファージのHIF-1α欠損により脂肪組織の血管新生が増強していた。HIF-1αは血管新生因子であるVEGFaの転写を制御しており、HIF-1αの欠損により血管新生が減少する可能性があった。しかし本研究の結果から、マクロファージのHIF-1αが欠損しても脂肪組織の血管新生には影響がなく、脂肪細胞とマクロファージにおけるHIF-1αの働きの違いが明らかとなった。また肥満初期と慢性炎症の確立した肥満維持期では血管新生のメカニズムが異なることが示唆された。マクロファージのHIF-1α欠損による脂肪組織の炎症軽減、血管新生の亢進、全身の糖代謝改善効果について、現在、論文の雑誌投稿を準備している。
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Diabetology International
巻: 6 ページ: 未定
10.1007/s13340-015-0205-3
巻: 未定 ページ: 未定