研究課題
① マウス腹腔Mφにおいて、AMPK活性化剤(AICAR)は、濃度依存性にAMPKのThr172をリン酸化し、主要な下流分子であるACCのリン酸化を誘導した。また、この効果はAICAR添加後1時間以内で誘導され、24時間以上持続した。② マウス腹腔Mφおいて、AICARは酸化LDLあるいは分化誘導因子Granulocyte Macrophage colony-stimulating Factor(GM-CSF)により誘導されたMφ増殖を濃度依存性に有意に抑制した。③ DN-AMPKを遺伝子導入し過剰発現させたMφでは、AICARにより誘導されるAMPKのリン酸化が誘導されず、下流のACCのリン酸化も誘導されなかった。このMφでは、AICARによる酸化LDL誘導性マクロファージ増殖の抑制効果が解除された。④ GM-CSF誘導性MφにおいてはAICAR添加によりG0/G1期にあるMφの増加と、S期とG2/M期にあるMφの減少を認めた。⑤ Apo E欠損マウスにAICAR投与することで脂質プロファイルに有意な変化は認めなかったが、AICAR投与群ではCTRL群と比較し有意に動脈硬化巣が縮小していた。
2: おおむね順調に進展している
残念ながらAICARによるマクロファージのフェノタイプの変化は仮説通りにはいかなかったが、それ以外は順調に結果が出ている。in vivoの検討で動脈硬化抑制効果が観察され、in vitoにおけるAICARの効果がin vivoでも同様に起きている可能性がある。さらに観察を進めていく。
①動脈硬化モデルマウス(アポE欠損マウス)の大動脈弁輪部の組織薄切切片及び大動脈全体をenfaceした組織サンプルをOil-red O染色し粥状動脈硬化病変のサイズを定量化する。②大動脈弁輪部の連続切片を用いてMφ特異的な表面抗原マーカー(CD11b)と細胞増殖のマーカー(PCNA)で多重免疫染色を行い増殖細胞と一致の程度を評価する。③アポE欠損マウスにAICARを8~10週間連日皮下注射投与後にsacrifyし、上記≪実験II≫と同様の検討で動脈硬化病変のサイズを定量化し増殖細胞およびMφについてコントロールマウスと比較検討する。
マウス解析のために、おもに細胞培養液・細胞調節液、Western blot用抗体・試薬、mRNA抽出及びPCR用試薬、免疫組織染色用抗体・試薬、FACS抗体・試薬マウス購入費マウス飼育維持費その他試薬が必要となる。
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