H25年度は、in vitro研究で(1)①細胞内ROSを蛍光プローブH2DCF-DAにて定量し、また、②mtROSを還元型Mito Tracker Redを用い共焦点顕微鏡で定量を検討、(2)細胞外フラックスアナライザーを用いて低血糖時のエネルギー代謝経路(解糖・TCAサイクル・ミトコンドリアにおける好気呼吸)および脂肪酸酸化、ミトコンドリア機能を検討した。更に、in vivo研究では、(3)インスリン腹腔内投与による最適な低血糖刺激用量の検討を進めた。以下に結果を示す。 in vitro研究:実験細胞株はウシ大動脈血管内皮細胞(BAEC)を使用した。 (1)①細胞内ROSを蛍光プローブH2DCF-DAにて定量した。25mM糖濃度培養下では細胞内ROS産生が5mM糖濃度培養下と比較して218±3.6%と著明に増加、一方、2.5mM糖濃度培養下では69.7±2.6%と低下を認めた。②培養糖濃度相違によるmtROSへの影響を還元型Mito Tracker Redを用い共焦点顕微鏡で定量検討した。2.5mM糖濃度培養下では、mtROSは5mM糖濃度培養下と比較して177.6±27.8%と著明に増加を認めた。次に2.5mM糖濃度培養下でのmtROS増加の原因を(2)細胞外フラックスアナライザーによる酸素消費速度(OCR)測定でのミトコンドリア機能評価をした。2.5mM糖濃度培養下でも著名な変化は認めなかった。 (3)in vivo研究:STZ誘導糖尿病マウス:低血糖刺激群は、インスリン(IR) 7単位/kgBW i.p.、非低血糖刺激群は、IR 7単位/kgBW + Glu7.0g/kgBW i.p. 非糖尿病マウス:低血糖刺激群は、IR 2単位/kgBW i.p.非低血糖刺激群は、IR 2単位/kgBW + Glu3.5 g/kgBW i.p. +60分後にGlu1 g/kgBWで目標血糖値45 mg/dL程度が得られることを確認できた。
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