研究課題/領域番号 |
24790937
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
三城 恵美(佐藤恵美) 独立行政法人国立国際医療研究センター, 臓器障害研究部, 研究員 (00455544)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | チロシン硫酸化 / 硫酸化チロシン認識抗体 / 糖尿病性腎症 / バイオマーカー |
研究概要 |
糖尿病の合併症の中でも腎症は、微小炎症により引き起こされることが注目されている。本研究では、「チロシン硫酸化」という翻訳後修飾に着目してプロテオーム解析することにより、これまでに見つかっていないが機能的に有用であることが想定される新しいバイオマーカーを発見し、糖尿病合併症の早期診断や治療に役立てることを目的とした。 糖尿病性腎症の変動をとらえやすく、患者からの収集も容易である尿をターゲットとすることにし、尿タンパク質を用いて、我々が作製したチロシン硫酸化認識抗体にてウエスタンブロッティングできる条件を確立した。尿には、健常者でも、また腎症患者では多量のアルブミンやIgGがあるため、市販の抗体カラムを用いて除去することが必要であった。また、脱硫酸化酵素による処理をしたところ、ウエスタンブロッティングのバンドが減少したことから、チロシン硫酸化特異的なタンパク質を検出できていると考えられる。それらを踏まえて、糖尿病性腎症の患者の尿検体を用いてウエスタンブロッティングを行い、複数のバンドを確認することができたが、糖尿病性腎症特異的なバンドや変動するバンドを見出すことはできなかったため、糖尿病性腎症では、差異がみられない可能性があるか、作製した抗体のキャラクタリゼーションが不十分である可能性がある。 そこで、糖尿病患者検体を用いて、尿プロテオーム/ペプチドーム解析を行ったところ、硫酸化タンパク質/ペプチドの変動は見出されなかったが、非硫酸化タンパク質やペプチドで、新規に変動があるものを見出すことができ、ターゲットペプチド特異的なMRM測定法を確立し、多検体を用いた定量解析による検証を行っても、糖尿病性腎症の1期と3期を比較して有意差が得られる結果となった。これは、新規バイオマーカーとして有用な可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チロシン硫酸化をターゲットにした、尿タンパク質を解析するために、尿タンパク質の処理法の確立やウエスタンブロッティングの最適化を行うことができた。また、脱硫酸化酵素による処理をしたところ、バンドの減少がみられたことから、チロシン硫酸化特異的なタンパク質の検出を確認した。そして、実際に糖尿病性腎症の尿タンパク質の解析を行った。ところが、複数のバンドを確認することができたが、糖尿病性腎症特異的に変動するバンドを見出すことはできなかったため、糖尿病性腎症では、差異がみられない可能性があるか、作製した抗体のキャラクタリゼーションが不十分であり、非特異的バンドを検出してしまった可能性がある。しかし、貴重な糖尿病性腎症の患者の尿検体を用いて、プロテオーム/ペプチドーム解析を行ったところ、新規に変動があるものを見出すことができ、特異的なMRM測定法を確立することができた。またさらに、多検体を用いたMRM定量解析による検証を行っても、糖尿病性腎症の重症度に応じて有意差が得られる結果となり、新しいバイオマーカーとして、有用な可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究実施計画にも示していた通り、糖尿病で変動がなかったため、糖尿病に限定せず、対象を広げることとする。また、硫酸化チロシン認識抗体に、非特異的結合もあることが見出されたことから、抗体のキャラクタリゼーションが不十分であることが判明したため、確実なデータを揃える。ラットやマウスといった実験動物の組織や培養細胞を用いて新規のチロシン硫酸化ペプチドやタンパク質を探索することにする。これは、ペプチドではコレシストキニンとガストリンの2種類しか見つかっていないため、見けることができたら大きな成果になると考えられる。さらに、その機能解析を行うことで、有用性を証明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
硫酸化チロシン認識抗体のキャラクタリゼーション:抗体の基本的な性質を明らかにすることで、非特異的結合の起こりにくい条件を見出し、その条件で以下の実験を行う。 チロシン硫酸化タンパク質/ペプチドの探索:過去の探索では、硫酸基が脱離しやすい条件が用いられていることが多かったため、アルカリ性で抽出し、イオン交換で濃縮した後、硫酸化チロシン認識抗体で特異的な濃縮を行ったものをMS、MSMS解析することにより、同定を行う。 機能解析:見出された新しいタンパク質やペプチドは、培養細胞などを用いて、アンタゴニストとしてチロシン硫酸化部位の合成ペプチドを作製し投与したり、ターゲットタンパク質や硫酸化されるチロシン残基をフェニルアラニンに置換したタンパク質を過剰発現させたりする条件で、細胞の増殖活性や遊走活性などを測定する。
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