研究実績の概要 |
研究課題最終年度である本年度は、チロシン硫酸化に着目してプロテオーム解析することにより、これまでに見つかっていないが機能的に有用であることが想定される新規チロシン硫酸化タンパク質を発見した。 硫酸化チロシン認識抗体を用いてチロシン硫酸化タンパク質を多く含む細胞の種類と分画法の検討を行い、マウス筋芽細胞C2C12細胞の培養上清を用いることにした。分泌タンパク質を含む培養上清を濃縮し、二次元電気泳動で分離後、硫酸化チロシン抗体にてウエスタンブロッティングしたところ、酸性高分子領域に多数の陽性スポットを検出し、陽性タンパク質を質量分析装置で解析した。その結果、既存のチロシン硫酸化タンパク質(Fibronectin, Nidogen)を含む、タンパク質を同定し、新規チロシン硫酸化候補タンパク質(細胞外マトリクスや接着因子など)を複数同定することができた。
研究期間全体を通して、以下の成果が得られた。 糖尿病患者検体を用いて、尿プロテオーム/ペプチドーム解析を行ったところ、硫酸化の変動は見出すことができなかったが、糖尿病性腎症のバイオマーカーになる可能性がある新規ターゲットを見出すことができた。新規チロシン硫酸化タンパク質探索のための準備を進め、硫酸化チロシン認識抗体を用いた二次元ウエスタンブロッティング法により、新規チロシン硫酸化候補タンパク質を同定することができた。本研究で発見したタンパク質は、個体の発生と生命の維持重要なチロシン硫酸化の機能に重要な役割を果たす可能性がある。
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