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2014 年度 実績報告書

サイトカインLECT2の糖尿病性血管障害における役割解析

研究課題

研究課題/領域番号 24790938
研究機関独立行政法人国立国際医療研究センター

研究代表者

奥村 彰規  独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (90392357)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード糖尿病 / 細小血管障害 / LECT2
研究実績の概要

糖尿病細小血管症は、高血圧、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症など糖尿病関連疾患とも強い関連性がある。これらの環境下においては、脂肪組織、筋組織、肝臓などの感受性やタンパク質発現が変動しており、複雑な相互作用がみられる。LECT2(leukocyte cell-derived chemotaxin 2)は肝臓で産生される血中タンパク質であり、その機能の一つとして炎症の調節作用があると考えられているが、微小炎症の関与する糖尿病細小血管症についての研究報告はない。このLECT2は、肥満を呈すると、血中レベルが亢進し、空腹時インスリン値およびHOMA-Rとも正相関を示すことが明らかとなった。そこで糖尿病および糖尿病性細小血管障害の発症・進展において、血中のLECT2濃度がどのように変化するかを検討するために、糖尿病性細小血管障害、すなわち神経障害、網膜症、腎症について診断がなされている糖尿病患者262人の血中LECT2濃度を改変ELISAにより測定し解析を行った。血清LECT2濃度と糖尿病、神経障害、網膜症、腎症の有無で比較すると、糖尿病網膜症を伴う患者群のみで有意に血中LECT2濃度が低下していることを見出した。また、糖尿病性細小血管障害を伴わない糖尿病患者は、非糖尿病人間ドック被験者とほぼ同等の値を示した。糖尿病網膜症の有無を予測する単変量ロジスティック回帰モデルでは、HbA1cや収縮期血圧よりLECT2が強い有意差を示した。性、年齢、罹病期間、BMIで調整した多変量ロジスティック回帰モデルでもHbA1cや収縮期血圧とは独立した因子であることが分かった。また、線形回帰モデルでLECT2濃度に独立して関与する因子を検討した結果でも、前回報告した、γ-GTPやトリグリセリドの関与に加えて糖尿病網膜症の有無が独立関与因子として抽出された。以上の結果より、糖尿病性網膜症患者では、血中のLECT2レベルが低下しており、糖尿病網膜症の新規創薬ターゲットとなる可能性が見出された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Serum leukocyte cell-derived chemotaxin 2 levels are decreased in patients with diabetic retinopathy2014

    • 著者名/発表者名
      Akinori Okumura, Hiroyuki Kubota, Yumi Matsushita, Tomoko Shiga, Ritsuko Honda, Hiroshi Kajio, Mitsuhiko Noda, Yasushi Kaburagi
    • 学会等名
      The 37th Annual Meeting of the Molecular Biology Society of Japan
    • 発表場所
      Yokohama, Japan
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] 血中タンパク質LECT2の糖尿病網膜症患者における血中濃度と網膜毛細血管内皮細胞への影響2014

    • 著者名/発表者名
      奥村彰規、久保田浩之、松下由実、本田律子、梶尾裕、野田光彦、鏑木康志
    • 学会等名
      第57回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2014-05-22 – 2014-05-24
  • [備考] 肥満や脂肪肝のある患者では血清中LECT2濃度が上昇する

    • URL

      http://www.ncgm-dmcomp.umin.jp/lect2.html

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公開日: 2016-06-01  

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