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2012 年度 実施状況報告書

褐色脂肪細胞を標的とした新しい肥満および糖尿病治療標的の同定

研究課題

研究課題/領域番号 24790940
研究機関東北大学

研究代表者

岡村 将史  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (60547397)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード褐色脂肪細胞
研究概要

まず、我々は褐色脂肪細胞分化の培養細胞モデルであるT37i細胞ならびに3T3-L1細胞を用いて、発現マイクロアレイを用いて褐色脂肪細胞分化および白色脂肪細胞分化の過程を比較解析し、褐色脂肪細胞特異的な遺伝子群として、20個の遺伝子を抽出した。(この時、これまで褐色脂肪細胞特異的と報告のあるPPARaも抽出され、これら抽出方法に一定の妥当性があると考えている。)これらすべてをオリゴsiRNAを用いて順次ノックダウンしていった。その結果、褐色脂肪に特異的な発現があり、且つ、インビトロジェンおよびキアゲンの異なる2つのアルゴリズムで設計された2つ以上のオリゴsiRNAで顕著にT37i褐色脂肪細胞の形成を抑制する遺伝子Xの抽出に成功した。遺伝子Xの発現をノックダウンすると、褐色脂肪細胞特異的な遺伝子であるPPARaの発現が顕著に低下していることも確認している。また、遺伝子Xは濃度依存性に褐色脂肪細胞の形成を抑制することも確認している。
次に我々は、MS/MSを用いて交感神経系刺激を模倣するcAMP刺激環境下において褐色脂肪細胞および白色脂肪細胞の培養上清を比較解析し、褐色脂肪細胞特異的な分泌蛋白の同定を行った。褐色脂肪細胞特異的に分泌が促進される蛋白として11遺伝子の抽出に成功している。(ちなみに、非刺激環境下において、脂肪細胞から分泌されると報告のあるadiponectinの同定にも成功しており、MS/MS解析は、一定の精度が保障されていると考えている。)しかしながらこれまでの実験結果では、これら遺伝子は、褐色脂肪細胞の形成を制御しなかった。意外なことに今回のMS/MS解析のなかで活性化白色脂肪細胞から顕著に分泌が誘導される遺伝子を見出すことに成功した。この遺伝子は、糖尿病患者の心血管合併症とも深く関連している可能性もあるため、現在解析を継続している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

褐色脂肪細胞特異的な遺伝子を抽出し、褐色脂肪細胞の形成を制御する遺伝子を抽出し、褐色脂肪細胞形成に与える影響を解析するプロジェクトに関しては、おおむね順調に進んでいると考えられる。
次に、褐色脂肪細胞特異的に分泌されている蛋白の抽出および褐色脂肪細胞形成の制御に与える影響を解析するプロジェクトに関しては、若干の遅れを認める。理由としては、1)褐色脂肪細胞特異的に分泌される蛋白の報告はこれまでほとんどなく、実験の精度を確認するために、再現実験を繰り返す必要があること、2)マイクロアレイ解析のように、大量に同定される蛋白を効率よく解析するソフト自体が未発達ということから一つずつ目視で蛋白を絞っていく必要がある点が原因であると考えられる。

今後の研究の推進方策

褐色脂肪細胞特異的な遺伝子を抽出し、褐色脂肪細胞の形成を制御する遺伝子を抽出し、褐色脂肪細胞形成に与える影響を解析するプロジェクトに関しては、褐色脂肪細胞の形成を顕著に抑制する遺伝子の同定に成功しており、各種褐色脂肪細胞分化マーカーの変動を明らかにし、その作用点を明らかにする。また、白色および褐色脂肪組織での蛋白発現も免疫染色で確認する。
次に、褐色脂肪細胞特異的に分泌されている蛋白の抽出および褐色脂肪細胞形成の制御に与える影響を解析するプロジェクトに関しては、同定された蛋白群では明らかな褐色脂肪細胞形成に影響を及ぼさなかったため、研究計画を一部変更し、その解析過程で偶然抽出された活性化白色脂肪細胞において分泌が顕著に誘導された蛋白に関して、詳細な検討を加えていく方針である。例えば、白色脂肪細胞分化に与える影響や、実際の糖尿病患者の血清を用いて心血管病との関連を解析することなどである。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

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公開日: 2014-07-24  

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