研究課題
本年度は、交感神経系を介したグレリン分泌制御メカニズムの存在を確認するため、まず絶食誘導性グレリン分泌に対する自律神経節遮断薬であるヘキサメトニウムの効果を検討した。さらに、交感神経の起点となる脳神経核を同定するために、視床下部外側野(LHA)、視床下部室傍核(PVN)、視床下部腹内側核(VMH)、青斑核(LC)及び視床下部弓状核(ARC)の神経核破壊を行い、絶食誘導性グレリン分泌に対する効果を検討した。β1アドレナリン受容体選択的阻害薬であるアテノロール(10 mg/kg)及びヘキサメトニウム(30 mg/kg)の腹腔内投与は24時間絶食に誘導される血漿グレリン濃度の上昇を阻害した。次に、LHA、PVN、VMH、LCの片側を電気刺激により破壊し、ARCをグルタミン酸ナトリウムの投与により破壊した。その結果、無処置群では絶食により血漿グレリン濃度は有意に増加したが、PVN破壊群では血漿グレリン濃度の有意な増加は見られなかった。LHA、VMH、LCの破壊は、絶食誘導性血漿グレリン濃度の上昇を阻害しなかった。一方、絶食時の血漿グレリン濃度をコントロール群と比較すると、LHA破壊群では有意に増加しており、VMH、LC破壊群では増加する傾向が見られた。ARCの破壊は絶食誘導性グレリン分泌を阻害しなかった。以上の結果から、絶食によるグレリン分泌は交感神経を介して刺激されることが明らかとなった。また、PVNが絶食誘導性グレリン分泌に関与する交感神経の起始核である可能性が高いことが示唆される。また、グレリン分泌を制御する因子の探索を行った。グレリン産生細胞株を用いた解析により、GPRC5bがグレリン産生細胞株に高発現していることを見出し、siRNA実験によりグルタミン酸がGPRC5bを介してグレリン分泌を抑制することを明らかにした。
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