研究課題
肥満で認められる過食のメカニズムを報酬系の破綻病態から解析した。高脂肪食を2週間摂食させた食事性肥満モデル(HFD)マウスの解析を行った。HFDマウスの摂食量は自由摂食時には正常対照マウスと差がなかったが、48時間絶食後、4時間再摂食させた時の摂食量は正常対照マウスに比べ有意に増加した。絶食後再摂食には、ホメオスタティックな調節を行う視床下部と報酬系が大きく関与している。そこで、このマウスの過食メカニズムを解析する目的で、視床下部および、報酬系を主に調節する側坐核のメラノコルチン神経系、オピオイド神経系、ドーパミン神経系およびグルタミン酸神経系関連のmRNA発現を検討した。さらに、報酬の算定を調節する、扁桃体・海馬・大脳皮質におけるグルタミン酸関連のmRNA発現を検討した。その結果、正常対照マウスと比較し、絶食後および再摂食後では、いずれの検討部位においてもHFDマウスの各mRNA発現パターンに差が認められた。この結果から、2週間の高脂肪食摂取に、絶食および再摂食という負荷を加えることで変化が顕在化することが明らかになった。さらに、機能的な変化を確認するために、48時間絶食後、再摂食直前にメラノコルチン受容体拮抗薬、オピオイド受容体拮抗薬およびグルタミン酸神経系関連の受容体拮抗薬の脳室内投与を行い、再摂食量に対する作用を検討したところ、正常対照マウスとHFDマウスとで、これらの薬剤による再摂食量の抑制に違いが認められた(平成24年度)。そこで、これら脳内変化のメカニズムの仮説として、高脂肪食負荷による脳内マイクログリアの活性化を考え、マイクログリア関連のmRNA発現を検討したところ、前述の変化と同じく、2週間の高脂肪食負荷単独では正常対照群との明らかな違いは認められないが、絶食や再摂食による変化のパターンに違いがあることが明らかとなった(平成25年度:最終年度)。
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Diabetes
巻: 62 ページ: 1500-1504
10.2337/db12-0718.