研究課題/領域番号 |
24790953
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小林 佐紀子 慶應義塾大学, 医学部, その他 (80383727)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 特発性アルドステロン症 / 高血圧症 / 肥満 / 内臓脂肪 |
研究概要 |
1)特発性アルドステロン症(IHA)の臨床的検討: 原発性アルドステロン症(PA)121名(APA(n=36)、IHA(n=85))およびnon-PA症例(n=57)に分けて、尿中アルドステロン排泄量と糖脂質代謝の指標との相関を解析した。尿中アルドステロン排泄量はIHA患者においてのみBMI、腹囲、空腹時血糖、HOMA-Rと有意な正相関を認めた。以上より、IHAと肥満が関係していることが推測された。 2)患者血清を用いた検討: IHA患者血清とnon-PA患者血清中のアルドステロン分泌促進能を検討した。①レポーターアッセイによるCYP11B2転写活性は、IHA血清ではコントロールと比較して有意に上昇していた。IHA患者血清による上昇は、PKA阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬を添加下でも、non-PA患者血清と比べて高値を認めた。②ELISA法による培地上清中のアルドステロン濃度も、IHA患者血清処置では血清では、non-PA患者血清と比較し有意に高値であった。③リアルタイムRT-PCR法によるCYP11B2 mRNA発現の定量結果でも、IHA患者血清処置では有意な上昇がみられたのに対し、non-PA患者血清で上昇はみられなかった。 3)アルドステロン分泌能と肥満度の相関: 基礎実験で認められたIHA患者血清中のアルドステロン分泌促進能は内臓脂肪面積と有意な正の相関を認めた。 以上1), 2) ,3)の結果より、IHAでは血清中に内臓脂肪由来CYP11B2活性化因子があることが推測され、肥満改善によりIHAの病態が改善される可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、レポーターアッセイによるCYP11B2転写活性の測定、ELISA法による培地上清中のアルドステロン濃度の測定、リアルタイムRT-PCR法によるCYP11B2 mRNA発現の確認を既に実施出来ている。更にCTにて内臓脂肪面積測定も実施することができ、上記の結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
れまでの研究によって、IHA患者血清中のアルドステロン分泌促進因子の存在が示された。 又、アルドステロン分泌促進因子は患者の内臓脂肪面積との相関も示せており、IHA患者が体重減量後にアルドステロン分泌量が減少することを実際に検討していく予定である。更に、IHAの病因は、内臓脂肪過多のみでなく、APAでは既に報告されているような遺伝学的因子の関与も考えられ、今後検討していく。以上の結果を論文として発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞実験に必要な培地、試薬購入費。プラスミド精製、ELISAキット、Transfection試薬、PCR関連siRNA購入費。
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