研究課題
原発性アルドステロン症の2大病型の1つである特発性アルドステロン症(IHA)は、両側副腎皮質球状層からのアルドステロン過剰分泌を特徴とする病態であり、両側副腎に病変が存在することから、手術治療の適応とならない。現在では、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を中心とした薬物治療が治療の中心となるが、根治療法ではないため、永続的な内服が必要とされる。本研究では、IHA患者血清内のアルドステロン分泌促進因子に着目し、その病態形成における病因を究明し、IHAに対する根治療法の確立を目指すことを目的とした。平成24年度の実績報告では、1、IHA患者血清においては、対照患者血清に比して、in vitroのアッセイ系におけるアルドステロン分泌促進能が有意に高いこと、2、そのアルドステロン分泌促進能は、IHA患者尿中アルドステロン分泌量と有意な正の相関があり、IHA病態を反映した指標であること、3、さらには、血清のアルドステロン分泌促進能と内臓脂肪面積が、IHA患者においてのみ有意な正の相関があることを示した。これらの観察所見より、IHA症例では、内臓脂肪よりアルドステロン分泌促進能を有する何らかの液性因子が血中に出され、副腎においてアルドステロン過剰分泌をもたらすという病態形成機序が考えられた。平成25年度は、内臓脂肪に対する治療介入を行い、IHA病態の変化を検討することを行った。糖尿病治療薬の1つであるチアゾリジン誘導体(ピオグリタゾン)は、内臓脂肪を減少させる薬剤として知られており、ピオグリタゾンの投与によりIHAの病態が改善するか否かを検討した。現在、治療効果の経過観察中である。また内臓脂肪の質的変化がIHA病態形成に重要なのか、量的変化が重要なのかを比較するため、異なる作用機序で内臓脂肪を減少させる薬剤セチリスタットによる治療介入も今後行っていく予定である。
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