研究課題/領域番号 |
24790955
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
須賀 英隆 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20569818)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 細胞分化 / GH / LH/FSH |
研究概要 |
申請者らは以前に、試験管内でマウス胚性幹細胞(ES細胞)から下垂体前駆組織(ラトケ嚢)を高効率で誘導する方法を開発し、そこから分化したACTH分泌細胞がin vitro、in vivo双方で機能することを示した。一方、ES細胞からのGHやLH/FSH分泌細胞への分化は、未だ低効率で、機能性も未確認である。本研究では、試験管内分化法でマウスES細胞からGH、LH/FSH分泌細胞分化の高効率化を行い、それらの機能的移植法を開発するのを目的としている。 GH分泌細胞は、Lim3発現の後、Prop1、Pit1の順に発現する系譜であることが報告されており、試験管内培養でもまず、Prop1発現をマーカーとして検討した。発生上、ラトケ嚢の腹側に発現が認められるBMP2がProp1を誘導する効果があることが判明した。また、胎児において、Notch刺激がProp1を誘導することが報告されており、試験管内培養でNotchのリガンドであるDLL1、DLL4、Jagged2がProp1およびその下流のPit1を誘導することが判明した。 ただ、誘導効率がまだ低いのが問題点であり、その原因がLim3陽性ラトケ嚢様構造の低形成にあると考えている。現在、マウスES細胞のメンテナンス培養に使用するKSRのロットチェックや、SFEBq法でのLim3誘導法の改良を行っている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスES細胞からLim3陽性構造を分化誘導する方法を、理化学研究所から名古屋大学に技術移転したのだが、分化効率が理化学研究所において得られた結果よりも低いのが問題点である。培養装置、培養液組成の中でロットにより違いがあるもの(KSRなど)、培養条件などを改良中である。 Lim3より後の誘導因子については、前述のように候補因子が判明しており、Lim3誘導の高効率化を達成すればその後の研究速度は上がるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
試験管内分化条件の検討で、Pit1やSf1の発現上昇が不十分にしか得られない場合、遺伝子導入による強制発現で、分化の最適化を試みる。これらにて得られたGH分泌細胞を用いて、in vitroで刺激試験、抑制試験を行う。具体的には、GRH刺激によるGH分泌、それ以外の視床下部ホルモンへの無反応、GH過剰添加時のネガティブフィードバックなどを確認する。 また、動物への移植実験を開始する。まずはGFPマウス新生仔の下垂体を用いて下垂体除去マウスに対し移植を行い、腎被膜下、皮下、トルコ鞍内など、生着率の高低を比較する。また、生着への免疫拒絶関与を検討するため、syngeneic(129Jマウス)とallogeneic(例えばICRマウス)のホストへの移植をし、拒絶の有無、免疫抑制の効果を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
KSRなどの基本的な培地組成物の確保や、分化培養における誘導因子、その結果確認のための免疫染色用抗体の購入を行う。ホルモン分泌試験では、ELISAなどの測定キットを購入する。また動物実験では、実験動物の購入やその評価のための染色用抗体の購入を行う。
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