研究課題
骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)で高頻度に活性化されている転写因子のEvi1(Ecotropic viral integration site 1)は、白血病の難治性を規定する重要な因子として注目を集めている。ヒト白血病検体を用いた網羅的解析においては、Evi1高発現と血小板系分子の発現には相関性があり、その中にはCD41(Integrin αIIb)も含まれている。CD41は血小板や巨核球のマーカーとして利用されているが、造血発生期ではstem cell markerであることが知られている。我々はEvi1高発現白血病モデルマウスを作製することに成功した(Blood. 2013;121:4142-55.)。このEvi1関連白血病モデルでは、必ずCD41陽性分画が出現することを発見した。本研究では、このモデルを用いて、Evi1関連白血病における血小板系シグナルの役割を明らかにすることを目的とした。CD41陽性分画の細胞は形態学的にblastであった。CD41陽性・陰性分画の移植によって、CD41陽性分画にEvi1白血病幹細胞が濃縮されていることがわかった。CD41は、CD61(Integrin βIII)とヘテロ二量体を作ることが知られているが、Evi1白血病細胞において、CD41と同時にCD61も発現していることも確認した。Evi1高発現白血病に対する抗CD41中和抗体あるいはCD41-shRNAによるCD41抑制の治療効果をモデルマウスを用いて検証したところ、CD41の抑制では白血病の病勢を抑えることはできなかった。Evi1白血病細胞にはCD41と同時にcMplも高発現しており、TPOに対する感受性が高いことが判明した。cMplをshRNAで抑制したところ、Evi1白血病の病勢を抑えることができた(Blood. on revision)。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Blood
巻: 121 ページ: 4142-4155
10.1182/blood-2011-07-368654.