研究課題
化学療法抵抗性要因となる白血病幹細胞について、その分子レベルでの機能の解明にはヒト症例の検体に基づいた病態解析が重要であるが、症例ごとに入手可能な白血病幹細胞数は非常に少数であるため、その進展は阻まれていた。本事業では、さまざまなヒト症例白血病細胞をiPS細胞化し、血液系へ分化誘導することで、もとの病態の再現を試みることを第一の目標としている。さらに、得られた血液細胞を免疫不全マウスに移植し、白血病幹細胞活性をもつ細胞集団を同定する。この集団を増幅することにより、従来の技術では困難であったエピゲノム・プロテオーム解析、薬剤感受性試験、白血病幹細胞の病態解析を行い、難治性白血病を克服すべく白血病幹細胞特異的治療法の開発を目指すことが事業全体の目標である。急性骨髄性白血病からのiPS細胞樹立については、様々な細胞集団を純化した上でのiPS細胞化や、p53のノックダウンなどiPS細胞化を効率化する試み、分化誘導修飾物質の添加、エピジェネティック制御因子の阻害物質の添加、造血細胞分化のマスターレギュレーターの抑制などを試行したが、樹立に至らなかった。一方で同様の手法を用いて慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)からのiPS細胞(CMMoL-iPS)樹立に世界で初めて成功し、CMMoL-iPSおよび血球に分化させた細胞が正常由来細胞と比較して増殖能が亢進していることを示した。またエピゲノム・トランスクリプト―ム解析により、CMMoLのターゲット遺伝子候補をいくつか同定した。iPS細胞を用いた解析はprimary sampleよりも鋭敏に標的候補遺伝子を抽出可能であり、かつ病態を反映することが本研究から明らかとなったため、今後も白血病細胞由来iPS細胞を用いて病態解析・薬剤スクリーニングを進める。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Journal of Clinical Investigation
巻: 124 ページ: 528-542
10.1172/JCI68101
Cancer Science
巻: (in press) ページ: (in press)
10.1111/cas.12386
British Journal of Haematology
巻: 165 ページ: 414-416
10.1111/bjh.12726
Blood
巻: 121 ページ: 4142-4155
10.1182/blood-2011-07-368654
International Journal of Hematology
巻: 97 ページ: 726-734
10.1007/s12185-013-1347-3
https://sites.google.com/site/akihideyoshimi/website_akihideyoshimi