研究課題
若手研究(B)
1.同種の細胞を用いた系における改良:(ア)日本人に頻度の高いHLAに拘束されるCMV/EBVエピトープの同定とそれらを用いたBi-specific T細胞の作成を行った。CMV特異的T細胞に比べてEBV特異的T細胞は増幅しづらいことがわかった。CMV特異的細胞は増幅しやすいものの、CMV陽性ドナーの割合は日本人の60%程度とそれほど高くないため、新たなエピトープの同定が必要であると考えられた。EBVは日本人のほぼ100%が陽性であるが、前駆細胞の割合に比べて、培養中の増幅が不良であった。培養方法の更なる工夫が必要であると考えられた。(イ)IL-15およびIL-21を用いたBi-specific T細胞の培養条件の至適化;IL-2に加えてIL-15およびIL-21を加えた培養系でBi-specific T細胞の培養を行い、IL-2+IL-21の培養系において有意に高い遺伝子導入効率を得た。2.自家の細胞を用いた系における改良:我々の用いてきたChimeric antigen receptor (CAR)の細胞内ドメインはCD28のものを用いているが、近年臨床的有用性が報告されている4-1BBやCD27を用いて更なるシグナル伝達の効率化を検討した。これまでのCD28細胞内ドメインに替えて、4-1BBやCD27の細胞内ドメインを合成し、4-1BBやCD27の細胞内ドメインを持つウイルスベクターを作成した。これらのCARによるシグナル伝達をより容易に比較・定量するために、細胞を用いたアッセイを構築しようとしている。これはT細胞の腫瘍細胞株にCARとreporter vectorを遺伝子導入し、これをCARの標的抗原で刺激することによってCARを介して伝達するシグナルを定量使用とする試みである。現在reporter vectorを遺伝子導入し、次にCARを遺伝子導入する。
2: おおむね順調に進展している
1.同種の細胞を用いた系における改良(ア)日本人に多いHLA型とそのCMV・EBV特異的エピトープを認識するT細胞に対してCD19-CARを遺伝子導入し、Bi-specific T細胞を樹立できるかを検討する。:これについては進捗は予定通りである。結果の欄に示したようにCMV特異的T細胞においてもEBV特異的T細胞においてもさらなる工夫が必要である。現在特異的細胞をより効率よく増幅するための培養系について検討している。(イ)培養方法の改良。:これについてもおおむね予定通り進捗している。2.自家の細胞を用いた系における改良(ア)CARの細胞外ドメインのヒト化。;ヒト化を行った場合の効果の評価を行う系が必要であるが、マウスの系ではヒト化したCARを遺伝子導入した場合には逆に拒絶されやすくなってしまうことが予想され、評価に適さない。ヒト化を行ったCARの評価はヒトでしか出来ないものと考えられるため、遺伝子導入T細胞をヒトへ投与する前にヒト化を行うことにしている。(イ)結合後にInternalizeしやすい抗原に対するCARの作成。;進捗していない。CD19-CARの細胞内ドメインの至適化を優先して行っている。まずは手持ちのCD19-CARの細胞内ドメインの至適化とその評価を優先しているため、結合後にInternalizeしやすい抗原に対するCARの作成には至っていない。
1.同種の細胞を用いた系における改良(ア)日本人に多いHLA型とそのCMV・EBV特異的エピトープを認識するT細胞に対してCD19-CARを遺伝子導入し、Bi-specific T細胞を樹立できるかを検討:ウイルス特異的細胞をより効率よく増幅するための培養系について検討している。具体的には人工抗原提示細胞を用いて、ウイルス特異的細胞を増幅することが出来るか検討する予定にしている。すでにK562細胞にHLA-A24:02を遺伝子導入した細胞を持っているため、これにCMV由来のタンパクを発現させている。さらに4-1BB ligandなどを発現させることによって高効率にウイルス特異的T細胞を誘導できるかどうか検討する。2.自家の細胞を用いた系における改良(ア)CARの細胞外ドメインのヒト化:ヒト化を行ったCARの評価はヒトでしか出来ないものと考えられるため、遺伝子導入T細胞をヒトへ投与する前にヒト化を行うことにしている。(イ)結合後にInternalizeしやすい抗原に対するCARの作成。:CD19-CARの細胞内ドメインの至適化をのため、CARの伝達するシグナルを評価する系を確立することを優先する。腫瘍細胞株にreporter vectorを遺伝子導入後、CARを遺伝子導入する。それらの細胞を用いてCD19刺激を行い、どのようなシグナルが伝達しているのか検討する。その後、それらの系を用いてInternalizeしやすい抗原に対するCARの作成については取り組む予定にしている。すでに抗原の選定は行っている。
1.同種の細胞を用いた系における改良(ア)K562に遺伝子導入する4-1BBやその他の候補遺伝子の遺伝子導入を行う予定である。このvector constructの準備が必要である。2.自家の細胞を用いた系における改良(イ)手持ちのCD19-CARの細胞内ドメインの至適化とその評価:腫瘍細胞株のなかでもT細胞らしさを維持しているものを選択する必要がある。その細胞にreporter vectorを遺伝し導入し、さらにCARを遺伝子導入した後でCD19にて刺激を行い反応を評価する。評価にあたってはreporter vectorを介して発現するGFPのほか、腫瘍細胞株の分泌するInterferon-gamma/Interleukin-2などを測定する。それらの測定抗体・試薬やELISA kitなどが必要である。シグナルを細胞レベルで見るにあたっては細胞内リン酸化タンパクの染色を行う。これらの細胞固定試薬・細胞内リン酸化抗体が必要である。
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